人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

「IQ」が示すのは
記憶・推理・判断

 1905年、フランスの心理学者ビネーとシモンは、児童の精神的な発育の遅れを診断する目的で知能の検査をおこないました。これが世界ではじめての知能検査であり、「ビネー=シモン検査」と呼ばれています。

 その後、ビネーとシモンの知能検査は各国でさまざまな改良が加えられました。その代表が「スタンフォード=ビネー式知能検査」です。

 これらの知能検査は、人間の知能を科学的、客観的に測定するもので、一般的には簡単な記憶、推理、判断などを求めるものです。これらの問題は年齢に応じて設問され、やさしい問いからはじまり、徐々に難度が高くなり、どの段階まで正解できるかで知能を判断します。

 その検査の結果が知能指数といわれ、一般にIQと呼ばれます。この指数は、知能検査によって測定された精神年齢を生活年齢で割って100倍した数字であらわされます。

「EQ」は
IQ偏重への警鐘

 この場合、精神年齢と生活年齢とが同じであればIQは100となり、標準的な知能とされます。またIQが120であれば、精神年齢が生活年齢より約20%発達していることを意味しています。

 このことからIQが高ければ知能程度が高い、いわゆる「頭がいい」と判断されてきました。