ここで重要なのは、それぞれのアプローチにはメリットもデメリットもあることをしっかり認識しておくことです。1つの方法に頼り切ってしまうと、ある一定の方向に絶大な効果を発揮するかもしれないと同時に、思わぬ副作用の可能性があります。最適解は、ルールとロールとツールの3種類の方法をそれぞれ混合し、ベストミックスにした合わせ技から生まれるのです。しかも、それをなるべく、自発的コミュニティとマーケットによるものにすることが肝要です。

 その点、小泉政務官は先述したコメントの中で「どうやったら悪用するんではなくて、健全な発展の社会のために使ってもらうのか。精神論なのかクリアできる問題なのか、それとも制度によってそれは担保すべきものなのか」と述べられており、様々なアプローチを視野に入れています。「ルール」という手法にだけ頼り切った処方箋に基づくようなアプローチには距離を置いています。

ルールを作れば済むというのは大間違い
「お上志向」では問題は解決しない

 そもそも、「ルール」による規制を政府が行う際には、細心の注意を払わなければなりません。国民の権利を新たに制限する立法は、自由主義社会において、慎重でなければならないからです。近代憲法下では、自由の尊重が極めて重要で、自由を制限する場合には、公共の福祉にかなっていることに加え、より制限的でない必要最小限の規制であることが要請されています。

 その観点からも、規制論がすぐもてはやされ、しかも8割もの人が政府による規制を賛成しているのを見るにつけ、憲法の基本が、メディアを含めて日本では共有されていない、お上依存体質がなかなか抜けきれない、官僚の仕事がまた増えてしまう、とつくづく感じます。

 実は、ドローンというものは、冷静に考えれば電動での凧揚げみたいなものなのに、世の中が騒ぎ過ぎです。凧揚げは昔、電送線に引っかかって事故になり、電力会社が、凧揚げの場所について注意するテレビコマーシャルをよく流していました。それでも、凧揚げ禁止法は作られませんでした。

 それに、ルールを作れば、それが直ちに守られると考えるのは大間違いです。日本では、ルールを作ってしまえば、自ずと守られると錯覚している人が多いように思います。作ったルールが実際に実行・実現されるには、様々な投資とコストが必要です。

 具体的にルールが守られているかどうかを常時「モニタリング」し、もしも、仮にルール違反が疑われた場合には即座に「インスペクション」し、公正かつ適切に「ジャッジ」され、判決に基づき制裁「サンクション」が発動される体制が整備され、実際に機能して初めて、ルールが守られ、秩序が形成されるのです。

 仮に都心の街中でドローンの飛行を禁止する新法ができたとしましょう。どうなるでしょうか。

>>後編『ドローンで学ぶイノベーションとリスク対策の両立(下)』に続きます。

 

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