ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経営のためのIT

データ分析を業務プロセスに組み込む
――意思決定の自動化が適合する領域とは

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第43回】 2015年6月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3
nextpage

 逆に、業務の反復性や普遍性は高いものの、電子化された情報がごく一部である場合(図1の右下)は、異常値や例外的なケースが現れたときに分析システムがアラートを発し、ビジネスアナリストや業務担当者が他の定性的な情報を加味して判断することが望ましい。例えば、部品在庫が一定の閾値を下回ったら補充のために発注するという判断は自動化が可能であるが、その際、サプライヤーと価格交渉が必要であったり、その他の状勢によって需要が変動したりといったケースでは、在庫レベルのアラートのみを自動化し、発注先、価格、発注量、発注のタイミングは人が判断して決定するといったプロセスが考えられる。

 一方、価格や需要の変動が少ない部品については、人の判断を介さず自動的に補充するといった具合に、ビジネスルールをあらかじめ条件によって分けておけば、一部の意思決定は自動化できる。このように、自動化と半自動化を組み合わせたプロセスを設計することが有効な場合も多い。

自動化せずに意思決定の支援にとどめるべき領域:業務の反復性および普遍性が低く、電子的に供給される情報の割合も小さい領域は、自動化の有効性が低く、人間による意思決定が依然として有効な領域となる。新しい分野に分析を導入する場合などは、初期の時点では反復性や普遍性を評価できないため、人が判断を下しつつ知見を蓄積することで、事象の相関関係や規則性を見極めるステップが必要となることが多い。

 また、特別な事象における1回限りの意思決定の場合は自動化すること自体に意味がないであろうし、必要な情報が非常に多岐にわたるうえ、そのほとんどが電子化されていない場合は、人がさまざまな状況を総合的に見て判断せざるを得ない。ただし、少ないながらも電子的な情報や数値データが存在する場合は、その部分だけでも分析を行って、意思決定を支援することが求められる。

分析自動化の適合度を高める取り組み

 意思決定支援の領域から半自動化へ、そして自動化へと進めることで判断業務の省力化を図るとともに、分析のリアルタイム性を高め、意思決定の属人性を排除していくために、業務プロセス自体の変革が求められることも多いだろう。まず、電子的に供給される情報の割合を高めるために、業務の「見える化」を進めることが重要である。またその際、判断基準をKPIや閾値というかたちで数値化することが望ましい。

 顧客接点におけるやり取り、購買、生産、物流、商取引など業務遂行の結果を数値として捕捉するだけでなく、途中経過や時系列的な推移をモニタリングすることで、意思決定に有益なデータを間断なく収集できれば、判断のリアルタイム性が格段に高まることに加えて、推移や傾向を基に将来を予測することが可能となる。

(PR)連載筆者、内山悟志氏の講演に特別無料ご招待![ID:DOL501で登録]

previous page
3
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


経営のためのIT

日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

「経営のためのIT」

⇒バックナンバー一覧