リーマン・ショックから1年強が過ぎ、当初半年以上続いたマーケットの混乱も次第に落ち着き、国際協調と各企業の自助努力によって、景気の底打ちも見えてきた感があります。特集最終回となる今回は、リーマン・ショックによって見えてきた諸問題に焦点を当てながら、今後の課題や注目点を考えてみたいと思います。
金融機関の業績回復と
金融規制強化への動き
2009年も終盤に来た今、主要国の景気動向には未だリーマン・ショックの悪影響が一部残るものの、個別企業の業績は、一時の最悪な状態からは難を脱した感があります。例えば、危機の震源地アメリカの金融機関の業績動向は、2008年度10-12期を底に、その後回復基調が鮮明になり始めています。
一方、その回復力については、引き続き不安も根強く残ります。一旦は底打ちが見えて、回復の基調は明らかなものの、継続的回復にはまだ程遠いことは、下のグラフで2009年度7-9期のバンクオブアメリカの純利益を見ても明らかです。他方で、明らかに回復基調が見て取れるゴールドマンサックスでも、多額のボーナスに関わる問題が再浮上するなど、リーマン・ショックを機に様々な見直しが求められているのは周知の通りです。
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さて、そもそもリーマン・ショックを招いたのは、各国の金融機関に対する監督が甘く、過剰なリスクを取らせる結果になったり、当局のCDSなどに対する規制が抜けていたためであるとされてきました。2008年末から3度開かれているG20金融サミットでも、毎回金融機関に対する規制強化が取りざたされています。このような流れを受け、金融危機が一定の落ち着き見せ始めた頃から、各国で金融機関に対する規制強化への具体策が、次々と発表され始めているのは周知の通りです。