映画『ビリギャル』は絶対世の中を良くしている
佐々木 あの映画は、絶対世の中を良くしていると思っています。…僕はメディア側の人間なので、どうしても斜に構えて観てしまうんです。「あのセリフはちょっとわざとらしい」「この部分は表現が甘かった」とかね。でも、この映画は全くそんなことがなかった。先日、僕と坪田さんが友人だということを知らないクリエイターが「ビリギャル、まじで凄いです!」と、いかに『ビリギャル』が素晴らしかったのか、とうとうと話してくれたんです。タイトルからして慶應に受かることはわかっているのに、あそこまで感動できるのが「凄い」と。
坪田 本当ですか。実は僕、自分では感動すると思えなかったんですよね。相当の映画好きで今までにすごい数の映画を観てきているし、しかも原作の映画化って、原作ファンは大体微妙な気持ちになるじゃないですか。しかも僕、原作を書いただけでなく体験までしているし(笑)。
佐々木 最後の落ちも全部体験していますしね(笑)。
坪田 だから、悪いところにしか目がいかないだろうと思っていたんです。これは事実と違う、この表現はおかしい、とか。しかも、まだ音楽がついていない段階で観ることになったので、気持ちが盛り上がるはずもないと。なのに映画を見たら大号泣です(笑)。
佐々木 やっぱり!
坪田 「この映画は世の中を良くしている」と言っていただき、すごく恐縮しています。でも確かに、笑える映画とか、感動する映画とか、世の中にはいろいろな映画がありますが、観終わった後に「私も頑張ろう」とやる気になる映画ってあまりないんじゃないかなと。
佐々木 おっしゃる通り。リアルな話であるがゆえに、映画のワンシーンごとに本当にリアリティがあるから、頑張ろうって思えるんですよね。きっとさやかちゃんは本当にこのように悩み、そしてそれを乗り越えたんだろうなと、熱い気持ちになりました。…映画を観終わった後、どうしても原作を読み直したくなって、夜中に一気に読んだのですが、以前、坪田さんに表紙の裏に書いていただいた「Where there is a will,there is a way.」(意思あるところに、道は開ける)の言葉を見つけて、ズドーンと胸に突き刺さりました。映画を観るまでは、ここまで深く感じられなかった。最高のエンディングがここにありましたよ。
坪田 恐縮です。