映画『ビリギャル』は絶対世の中を良くしている

坪田信貴(つぼた・のぶたか)坪田塾 塾長。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。「地頭が悪い子などいない。ただ、学習進度が遅れているだけ。なので、遅れた地点からやり直せば、低偏差値の子でも1~2年で有名大学、難関大学への合格は可能となる」という信念のもと、学生の学力の全体的な底上げを目指す。「受験だけでなく、人生を成功させねば意味が無い」というモットーから、教え子とは一生の交流になり、結婚式に呼ばれる事も多い。年齢などは「無用なラベリングをして他人を評価しがちな日本の風土を変えたい」ため、あえて非公開。マンガやテレビゲームが大好きで、妻とサッカーゲームで対戦するのが趣味。座右の銘は、「明日できることは今日するな。棚からぼたもち。あわてないあわてない、ひと休みひと休み」

佐々木 あの映画は、絶対世の中を良くしていると思っています。…僕はメディア側の人間なので、どうしても斜に構えて観てしまうんです。「あのセリフはちょっとわざとらしい」「この部分は表現が甘かった」とかね。でも、この映画は全くそんなことがなかった。先日、僕と坪田さんが友人だということを知らないクリエイターが「ビリギャル、まじで凄いです!」と、いかに『ビリギャル』が素晴らしかったのか、とうとうと話してくれたんです。タイトルからして慶應に受かることはわかっているのに、あそこまで感動できるのが「凄い」と。

坪田 本当ですか。実は僕、自分では感動すると思えなかったんですよね。相当の映画好きで今までにすごい数の映画を観てきているし、しかも原作の映画化って、原作ファンは大体微妙な気持ちになるじゃないですか。しかも僕、原作を書いただけでなく体験までしているし(笑)。

佐々木 最後の落ちも全部体験していますしね(笑)。

坪田 だから、悪いところにしか目がいかないだろうと思っていたんです。これは事実と違う、この表現はおかしい、とか。しかも、まだ音楽がついていない段階で観ることになったので、気持ちが盛り上がるはずもないと。なのに映画を見たら大号泣です(笑)。

佐々木 やっぱり!

坪田 「この映画は世の中を良くしている」と言っていただき、すごく恐縮しています。でも確かに、笑える映画とか、感動する映画とか、世の中にはいろいろな映画がありますが、観終わった後に「私も頑張ろう」とやる気になる映画ってあまりないんじゃないかなと。

佐々木 おっしゃる通り。リアルな話であるがゆえに、映画のワンシーンごとに本当にリアリティがあるから、頑張ろうって思えるんですよね。きっとさやかちゃんは本当にこのように悩み、そしてそれを乗り越えたんだろうなと、熱い気持ちになりました。…映画を観終わった後、どうしても原作を読み直したくなって、夜中に一気に読んだのですが、以前、坪田さんに表紙の裏に書いていただいた「Where there is a will,there is a way.」(意思あるところに、道は開ける)の言葉を見つけて、ズドーンと胸に突き刺さりました。映画を観るまでは、ここまで深く感じられなかった。最高のエンディングがここにありましたよ。

坪田 恐縮です。