国内ゲーム巧者の代表は、オリックスとソフトバンク

経営学には「4つ」の種類がある(後篇)高山信彦[株式会社イナクト代表取締役]           1956年山口県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、富士ゼロックス株式会社に入社。在職中の87年~88年に慶應義塾大学大学院経営管理研究科に派遣され経営学修士号(MBA)を取得。91年に「株式会社イナクト」を設立し、同社代表取締役に。以来、一貫して選抜人材を対象とした企業内ビジネススクールを企画・運営の仕事をする。東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループ、商船三井、全日空、パナソニック電工などの大手・中堅企業等で、25年にわたって、のべ5000人以上の生徒を教える。その多くで経営トップのコミットのもと、将来の幹部候補生たちが「経営学」を武器として身につけ、会社の方向性そのものを変えていくような人材に育つのをサポートしてきた。著書に『経営学を使える武器にする』(新潮社)がある。

 他社と違うゲームのルールを取り入れゲームの構造を変える。そうしたアプローチをとっている企業には、オリックスやソフトバンクが挙げられます。

 オリックスは日本でいち早くリース業を展開し、その後、金融、保険、レンタカー、不動産、環境・エネルギーなどに事業を広げました。リース業以外は、いずれも既存の強者がいる業界ですが、正面から激突しているイメージはありません。

 業界の常識に捉われず、規制に挑戦しながら独自のアプローチをとり、いつのまにか、それなりの規模まで事業を成長させ、業界での地位を築いています。

 ソフトバンクはITソフトの卸業、出版業からブロードバンド通信会社、携帯会社とめまぐるしく業態を変え、いまや日本で第2位、米国の通信会社、携帯会社も買収し、大きく成長しています。

 M&Aの経験も豊富で、ボーダフォン、イーモバイル、スプリントを吸収合併し、ヤフー株式会社、アリババ、ガンホーも傘下に持っています。

 同社は、「速報新聞」なる号外を配って「予想外割」料金を導入したり、イーアクセスを買収して「プラチナバンドを獲得」したり、無料で無線LANルーターを配ったり、iPhoneのいち早い販売、犬が一家のお父さんという白戸家のCMを作るなど、ドコモやauがとりにくい打ち手、ルールを設定してゲームを戦っているように見えます。

 ソフトバンクが先手、後手に回るドコモとauという構図が定着しているのではないでしょうか。