貯蓄型保険の「返戻率」にだまされるな!

 個人年金に限らず、低金利の状況下の貯蓄型保険は金融商品として魅力がない。そこで近年、保険会社は「返戻(へんれい)率」や「戻り率」という指標を使うようになった。返戻率とは、払った保険料に対しいくら受け取れるのかを表すもの。この指標、結構目くらましになるので注意したい。

 この連載は「40代から備えたい!」とタイトルにあるので、今度は40歳男性が今年加入したケースで見てみよう。

【40歳男性が今年個人年金に加入した場合】
 年金額:60歳から10年間、年60万円(受取総額600万円)
 保険料払込期間:40~60歳
 月払い保険料:2万3808円(払い込み総額約571万円)

 この場合、返戻率は「年金受取総額の600万円÷支払う保険料の総額571万円×100」により105%と計算される。みなさんは、105%という数字を見てどう感じるだろうか。

「5%も増えるんだ。預金より有利そうですね」という人が多いが、これは大きな間違い。1年間で5%増えるなら有利といえるが、20年間で5%なら預金に比べて有利とは言えない。「〇%」という数字を目にして有利、不利を考えるときには、「期間」を考慮することを忘れずに。これはお金を増やすときだけでなく、住宅ローンの変動金利と固定金利を比較するときにも同じことが言える。

 毎月の保険料を20年間積立したものとして、積立利率を計算すると、前述のプランはわずか利率0.1%に過ぎない。しかも、貯蓄型保険は加入時の利率が保険料を払っている間ずっと固定される仕組みなので、この場合「20年間、0.1%の固定金利で積立をする」ことになる。

 現在のメガバンクの積立定期預金の利率は0.1%より低いが、20年間固定されるわけではないので、将来は個人年金の利率より有利になる可能性が高い。

 保険の返戻率は、加入条件が同じ商品を並べて比較するのに便利なだけ。たとえば、前述の40歳男性の加入例をまったく同じ条件で保険会社各社の個人年金で比較した場合、その中でのおトク度を示すには返戻率があるとわかりやすい。けれど、ただそれだけのこと。「期間」の概念がない返戻率という指標は、金融商品としての有利性を表すものではないことを覚えておこう。