電力業界は環境省を納得させられるのか
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 環境省の望月義夫大臣がある新規計画にノーを突き付けた“望月ショック”に、電力業界はこれから直面する問題の難しさをあらためて認識することになった。

 6月12日、望月大臣が大阪ガスとJ-POWER、宇部興産の3社が山口県宇部市で進める石炭火力発電所建設計画について、「現段階で、是認しがたい」という意見書を宮沢洋一経済産業大臣に提出したのだ。

 これに先立つ6月1日、2030年における電源構成が固まったことで、「2030年度に2013年度比26%減」という温室効果ガス削減目標の政府原案が定められた。意見書が出されたのは、このまま石炭火力建設の計画が進めば、政府原案に示した目標と整合しなくなるからだ。

 ただし、宇部の計画に落ち度があったわけではない。電源構成と政府原案の策定と、環境アセスメントの手続き時期が重なったために、数ある石炭火力建設計画の中で宇部の計画が“いけにえ”となってしまっただけで、運が悪かったとしか言いようがない。