ながはま・としひろ
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト。1971年生まれ。栃木県出身。早稲田大学卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。95年第一生命保険入社。日本経済研究センターを経て第一生命経済研究所経済調査部へ異動。研究員、主任エコノミストを経て、08年より現職。主な著書は『日本経済のほんとうの見方、考え方』『中学生でもわかる経済学』『スクリューフレーション・ショック』『男性不況』など。

 だが、各国の実質的な国民の豊かさを比較するには、各国の物価水準を考慮する必要があるため、為替レートで換算するのは正確な比較にならない。すなわち、各国の商品やサービスの価格から構成された為替レートである「購買力平価」で比較するのが、より適切である。

 より実態に近いとされる購買力平価で換算した場合には、日本の1人当たりGDPは順位が最高となった91、92年でも先進国中12位に甘んじており、その後は順位を落とし、2012年以降は順位を2つ改善させているものの、20位にとどまっている。

内需低迷の真犯人はどこに?
地盤沈下を加速させたグローバル化

 こうした日本経済の地盤沈下の背景には、何があるのだろうか。企業の分配構造の変化により、従業員や支払利息への分配率低下と、海外を中心とした設備投資への分配率上昇が見られる中で、内需が低迷してきたという側面がある。

 この背景には、新興国の台頭を契機とする経済のグローバル化がある。つまり、(1)製造業の生産拠点や販売市場の国際化、(2)マネーの国際化による資源高、(3)株主構成の国際化、といった要因によって輸出企業が景気回復を主導しても賃金が伸び悩み、内需が盛り上がらない構造が影響してきたと言える。

 今世紀以降は、先進国と新興国、資源国が相互に依存する形で世界経済が変動してきており、日本経済も海外経済に影響されやすくなっている。そして、日本企業が新たに生産拠点の海外移転や委託、販売市場のグローバル化を進めてきたことも、内需低迷の一因となってきた。また、販売の面でも人口減少で伸び悩む国内市場を補うため、企業の海外市場の開拓が進み、企業業績の海外依存度が高まってきた。

 さらに、海外進出の理由となってきたのが、新興国の人件費の安さや市場の成長期待だけではなく、関税や法人税といった税制面で日本が遅れをとってきたことである。

 近年では、各国のFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)による貿易や投資の自由化の進展により、人・物・金・サービス・情報の全てにわたって、国境を越える移動を妨げる障壁が低くなっている。