『戦後沖縄と米軍基地』
「沖縄の米軍基地問題」は、半世紀以上にもわたって続く複雑な問題。その歴史的起源と展開はどのようなものであったか。本書は、米軍基地が建設された1945年から沖縄返還が実現した1970年代初頭までの時期を対象に、その使用、拡張、縮小といった軍用地問題に対する沖縄の政治指導者と日米両国の指導者らの認識と行動を具体的に考察し、沖縄の米軍基地問題の本質を問い直す

 また、元米国国防次官補のジョセフ・ナイ氏なども指摘していますが、そもそも原理的に沖縄は中国から近すぎるのです。中国の弾道ミサイルや戦闘機の機能向上により、沖縄一カ所に米軍基地が集中していれば、そこを集中的に攻撃され、全滅する可能性があります。つまり沖縄の基地は、いまや「脆弱」なのです。

 よって現在、米国は、グアムやハワイ、オーストラリアなどに米軍を分散するという計画を推し進めています。2012年の日米合意では、第3海兵師団の主力部隊である第4連隊をグアムなどに移し、沖縄に残るのは司令部と2000人規模のMEU(海兵遠征隊)だけとなります。

 そのMEUは、小規模な強襲上陸作戦や非戦闘員の救出作戦、そして人道支援や災害救助などを主たる任務とする部隊です。この部隊は沖縄に常に張り付いているわけではなく、アジア太平洋地域をぐるぐる回っています。そして、2000人の部隊を乗せる艦船は佐世保にあるのです。このような理由を挙げて、日米それぞれの専門家が海兵隊の「抑止力」や辺野古移設案に疑問を呈しているわけです。

──打開する道は、どこにあるのでしょうか?

 すごく難しいのですが、これは根源から考えるしかないと思います。なぜなら、沖縄の基地問題は、戦後日本の抱える根源的な問題を凝縮的に表現しているからです。突き詰めていくと、私は大きく2つの問題があると考えています。

 まず1つは、主権国家にかかわる問題です。1952年に日本は占領から脱して主権を回復しますが、その後日本は、「占領のシンボル」とみなされていた在日米軍の撤退と基地の整理縮小に取り組みました。

 52年の段階で本土の米軍基地は13万5200ha(専用施設)もありましたが、徐々に縮小され、61年には3万350ha、72年には1万9700ha、そして80年には8500ha、現在は8000haになっています。

 日本の政治指導者たちをして、米軍の撤退、基地の縮小に取り組ませたものは何だったのか。それは、60年に安保改定を成し遂げた元首相の岸信介氏の言葉を借りて言えば、「占領の残滓」の払拭だったと思います。

 ですから、主権国家にかかわる問題とは、敗戦国日本が拭い去ろうと努めてきた「占領の残滓」をどう考えるのか、ということです。