20代の若者が「政治家」になれない原因
公選法に意図的に仕組まれた「参入障壁」

 18歳選挙権が実現できたと双手を上げて喜んでいる皆さんに尋ねたいことがある。

 717人もいる現職の国会議員の中で、20代の国会議員が何人いるか、ご存じだろうか。

 答えは、民主党の鈴木貴子衆議院議員、たった1人である。鈴木氏は、父である鈴木宗男元衆議院議員が汚職事件で公民権を停止されたため出馬できず、代わりに北海道7区から立候補した。いわば、父親の支持基盤を頼って当選した「世襲議員」である。2009年の衆院選で28歳の若さで当選した小泉進次郎衆議院議員もまた、小泉純一郎元内閣総理大臣の息子であり「世襲議員」である。

 これまでも20代の若者は選挙権を持っていたが、20代の政治家はほとんどいない。これが現実だ。現在、被選挙権は地方議会及び衆議院議員で25歳以上、参議院議員で30歳以上と定められているから、20代が少ないのは仕方ないかもしれないが、政治の世界で多数を占めているのは、民間だととっくに定年退職した世代。今回の公選法改正でも被選挙権については変更はなかった。制度の問題はさておき、若い政治家はマイノリティであり、60歳以上の現役世代を引退した世代が過半数を占めているのが、今の議会の姿だ。

 実は、複雑な選挙制度が若者や新人の参入障壁となっている。そして、この複雑な選挙制度は、半ば「意図的に」仕組まれたものであることは意外と知られていない。

 今から90年前の1925年、普通選挙法が成立し、25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられた。この時から政治家は、顔も知らない大衆に選ばれる存在になったのだが、それ以上に既存議員たちが恐れたのは、30歳以上のすべての男子に被選挙権を与えてしまったことだった。

 既存議員たちは、猫も杓子も立候補することで自分たちの立場が危うくなることを恐れ、わざと公職選挙法の規定を複雑にした。当時、政友会と憲政会の2大政党が根付きつつある時代だったが、お互いの「選挙違反」を上げつらって候補者を失格に追い込むという不毛な政争の具として公選法を使い始めた。そして、その頃の公選法 はほとんど改正されることなく、そのまま現代にも残ってしまったというわけだ。無駄に高い供託金を候補者に要求するのも、「無所属」で新人が立候補することを防ぐための制度にすぎない。既存政党から出馬すれば、資金面での障壁は下がるが、既存政党は大抵世襲議員や年寄り議員が牛耳っており、時代遅れの風習やルールを押し付けてくる。

 だから、「選挙活動」を見てバカらしいと感じていた人は、むしろ「まともな人」と言えよう。

 既存の政治家からしてみれば、有権者が多少増えたところで自分の立場にはほとんど影響しない。だからこそ、彼らは18歳選挙権を全会一致で賛成したくせに、新人や若者が政界に入ることは拒む。

 新規参入を阻んでいるのは、制度だけではなく、制度とともに政治の業界人が無批判に信じ込んでいる悪習もまた、選挙を歪めてしまっている。誰も見ていないのに朝は始発前から駅前に立て、雨が降っている日こそ道端でずぶ濡れになれ、葬式や結婚式には呼ばれてなくても顔を出せ……こんなことを黙ってやるような人物に、優秀な人間がいるわけはなかろう。