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1979年6月14日生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。工学・教育学の2つの修士号を持つ。国家公務員1種法律職試験合格(政策秘書資格取得)。国連英検A級。マッキンゼーアンドカンパニーなどグローバル企業での勤務を経て、国会議員政策担当秘書として政界へ飛び込む。35歳の若さで、第47回衆議院議員選挙に兵庫10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、これまでブラックボックスだった政治の世界をできる限りわかりやすく面白く伝えることに情熱を燃やす。
また、この選挙カーの中から騒音をまき散らすウグイス嬢についても奇妙な規定がある。選挙をお手伝いする運動員は、基本的に常に腕章をつけていないといけない。これは、人海戦術を防止するため運動員の数を制限することを意図したルールである。
だが、運転手とウグイス嬢はお金で雇ってもよいとされているため、異なる色の腕章を付けることになっている。
すると、たとえばお金で雇われているウグイス嬢が、停車中に外へ出てチラシを配った場合、運動員買収になってしまうことになる。不便としか言いようのない規制である。
この手の「よくわからないルール」が山のようにあるのが選挙制度であり、選挙の度に新人候補者が警察に目を付けられ、多数の逮捕者が出てしまっている。
こんな無意味なルールは、さっさと変えなくてはいけない。
だが、既存議員からすれば、ややこしい選挙制度は自分たちの立場を守るためには嬉しい存在なのである。だから、いつまでもなくならない。
現職有利の公職選挙法に「公平性の担保」はない!
新人議員を手玉にとる業者も
そもそも公職選挙法という法律は、お金の有無によって選挙結果が左右されないように公平性を担保するためにあるのかと思いきや、現実の選挙は極めて不公平で現職有利な仕組みと言わざるを得ない。この複雑な選挙制度に目を付けて、何も知らない新人議員の足元を見て高額のお金を請求してくる印刷業者やウグイス嬢、選挙コンサルタント、いわゆる「選挙ゴロ」と呼ばれる生業まで存在している。
与党の選挙事務所を見ると、ファミレスみたいに大きな事務所がどーんと複数ヵ所に構えられており、数多くのスタッフが支持団体から動員されている。選挙になると、平日の昼間に100人以上の人が集まって気勢を上げている光景をよく目にするが、常識的に考えて、平日の昼間にそんなにたくさんの人が集まること自体、おかしな話である。
そもそも運動員買収が禁止されているのも、選挙期間中だけの話であり、公示・告示前に関してはほとんど規定がない。「どこが公平やねん」とツッコミを入れざるを得ないザル法であり、抜け穴を知らない新人候補者ほどバカを見る制度である。
他にも、膨大な立候補手続き書類、バラバラに大量にやってくるマスコミからのアンケートなど、新人に厳しい制度や慣習は山のようにある。現職議員は秘書に書かせたり、以前のものを使い回せばよいので楽だが、新人にとっては対応が困難だろう。
特に衆議院議員選挙は解散総選挙となることが多いため、選挙は突然決まる。ここに新人が参入するのは至難の業である。