グローバル人材に
不可欠な8つの能力

「専門分野を極めろ」と言うだけでは不親切なので、ここで「グローバル人材」に不可欠な能力について詳しく考えてみよう。ネットワーク社会である現代では、LinkedIn(リンクトイン)のようなサービスで世界中のビジネスパーソン同士がつながっている。「この人とつながりたい」と他人に思われるほどの能力がない限り、その他大勢として埋もれてしまう。この「つながる力」こそが、グローバル人材の本質なのだ。具体的には以下の8つの能力に集約できる(私はCONNECTING8と呼んでいる)。

 いちばん中核にあるのは(1)ビジョン策定力。「将来どうありたいか」がわからなければ能力も磨けない。ビジョンを実現するために、すでに述べたような(2)専門力が必要だ。

 グローバルで生きることを選択したのならば、多種多様な民族や国籍の方々と円滑なコミュニケーションを取るために、(3)異文化適応力(4)論理的思考力(5)語学力が必要となる。文科省、経産省の定義で強調されているところだが、3~5の能力はあくまでもコミュニケーションの手段だ。

 さらにグローバルリーダーを目指すのであれば、日本人が最も苦手とする(6)リーダーシップ力(7)意思決定力の能力開発は避けて通れない。スティーブ・ジョブズ氏のように新しい世界を創造したいなら、(8)想像力も欠かせない。

 声を大にして言いたいのは、語学コンプレックスなど持つ必要はない!ということ。能力の構造を理解すれば、コンプレックスから解放されるはずだ。まずはビジョンを明確化し、それに向けて専門的な能力を磨き続けていけば、いつの日か「グローバル人材」の条件を満たすだろう。