逃避で始めるのも、悪くない
人間誰しもスランプの時期があるわけで、だからといってパラレルキャリアの開始をスランプ脱出後まで遅らせることもないでしょう。筆者は逃避的に始めることも、必ずしも悪くないと考えます。
また生き方、働き方が多様化している中で、本業という言葉が実態に合わない場合もあります。同時に複数のキャリアをこなす中、このキャリアだけが一番重要と序列をつけて考えてはいない人もいます。
そもそも複数のキャリアに序列をつける必要もないわけで、そうなると本業という言葉自体を意識しない人もいるでしょう。この場合、「本業からの逃避」という前提がそもそも成立しないわけです。
疑問4:そもそも、誰でもパラレルキャリアにあてはまるのでは?
学生、専業主夫・主婦、ビジネスパーソン、定年後に余暇を楽しむ人、誰であっても、なにか複数の活動を同時に行なっていれば、パラレルキャリアにあてはまるとすれば、社会のほとんどの人がパラレルキャリアを実践しているのではないか――そんな疑問です。
どんなに会社人間でも、趣味はあるでしょう。たしかに、そういう意味では、誰にでもあてはまる、と言えます。ただし、「自分の認識」が意外に重要ではないでしょうか。
会社中心の人生で、家でビールを飲みながらプロ野球を観戦することだけが趣味。たしかに「働くこと×趣味」という意味では、パラレルです。しかし、おそらく本人は、自分がパラレルキャリアにあたるとは認識していないでしょう。家でビールを飲むだけでは、会社中心の価値観を問い直すことにはならないからです。
ですが、プロ野球好きの人を集めてコミュニティをつくり、週末に交流すれば、本人は自分がパラレルキャリアにあたると認識するかもしれません。そのコミュニティの中で、新しく多様な価値観に触れることができるからです。
つまりパラレルキャリアとは、外から見える形だけで決まるわけではありません。本人が主観的にどのように考えているかということで決まります。
このようにパラレルキャリアとは、自分のものであり、自分がどう生きたいのかという選択でもあります。この連載が、少しでも読者の皆さん方の選択の参考になれば幸いです。