あの戦争から「学んでいる」人は
実際にどれだけいるのだろうか?
敗戦から70年の月日が流れた。
1945年8月15日正午、昭和天皇がラジオを通じて全国民に敗戦を伝えた。日本は、アメリカ、イギリス、中華民国らが無条件降伏を求めたポツダム宣言を受諾。第二次世界大戦が終わった。
新憲法が公布され、日米同盟の下、長らく平和を謳歌していた日本の安全保障政策が今、大転換されようとしている。それが、衆議院を通過し参議院で激論が続いている「安保法制」だ。「国民の理解が十分進まない中で法案の審議だけが進められている」と危惧する世論は多い。
そして、安保法制と時を同じくして注目を浴びたのが、去る8月14日に安倍総理が出した「戦後70年談話」である。談話の内容については「村山談話」「小泉談話」の流れを踏襲したものと評価する声がある一方、中国をはじめ「過去の談話を引用しただけで、安倍総理自身の意思が明確に伝わらない」という批判もまた、少なくない。
この安保法制、戦後70年談話を巡る政府の対応を見る限り、日本に対する根強い不信感が諸外国から消えないことも、仕方がないことのように思える。
こうした状況に鑑み、筆者はふと思うことがある。終戦記念日のこの時期、マスメディアで特集されることが多い「戦争からの学び」「戦争の反省」とは、具体的に何なのだろうか、と。
安倍首相が発表した「戦後70年談話」に関するTwitter上でのつぶやきについて、ビッグデータ技術を用いて上位10件を抽出したのが、次のグラフである。
集計した株式会社ルーターの山本有悟取締役CTOによれば、「安倍首相の談話が放送された直後から、1時間あたり数万件のペースでツイートされた。放送直後はマスコミ報道の仕方に対するものが多かった」と言い、「おおむねTwitter上では談話への支持が多い」とのことだった。
これを見る限り、談話に対して好意的、あるいは中立・賛否両論があるツイートのリツイート数が、批判的なそれを大きく上回っていることは一目瞭然だが、SNSユーザーの関心が「支持」にここまで傾いている状況には、正直、違和感がある。また、中国から要求されていたキーワードがいくつ談話に入っているか、その数を数えるといったマスコミ報道が「お粗末だ」と批判する声もネット上に溢れた。こちらも、少し表面的な議論に過ぎないように筆者には思える。