血圧計を所有している人は多いにもかかわらず、血圧の意味はわかりにくいものです。

 心臓は1分間に60~80回くらいの頻度で収縮しています。心臓が収縮するたびに、血液が血管(動脈)に送り出されます。一気に血液が血管に流れ出される瞬間、血管には大きな圧力がかかります。このとき血管にかかる圧力が「収縮期血圧」または「最高血圧」で、俗に「血圧の上」などと呼ばれます。

 その後、心臓は全身を巡って戻ってきた血液を受け入れて、拡張します。そして、血管には血液がゆったりと流れます。このとき血管にかかる圧力が「拡張期血圧」もしくは「最低血圧」、俗にいわれる「血圧の下」です。

 座っていても歩いていても血管(動脈)にかかる圧力は高くなる、低くなるを繰り返していて、もし血圧を持続的に測定すれば心臓の動きと同調して「最高血圧」と「最低血圧」を繰り返しています。

 血圧が高くなると血管は大きな力で引き伸ばされることになります。それが長年続けば、血管の壁には傷がつきやすく、その傷から血液中の余分な脂分などが入り込んで、血管壁は厚く硬くなります。これが動脈硬化です。

 動脈硬化は血管と全身の老化の原因になります。さらに動脈硬化になった血管は血管の内腔が狭くて詰まりやすく、脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞ですから、命取りにもなりかねません。

 また、血圧が高くて大きな力がかかる血管は、時に血管壁が破れ血液が周囲に流れ出ます。これが目の奥で起きれば眼底出血で失明する場合もあります。脳で血管が切れれば脳出血となり、脳梗塞と同様で命を落としうる重篤な後遺症の原因にもなります。

 血圧は日頃から測定し、血圧が高めになったらまず生活を見直しましょう。塩分の摂り過ぎを控えて、適度な運動の習慣をつけることは必要です。それでも高い血圧が続くなら、医療機関を受診して正しい生活指導や治療を受けることも大切。血圧管理は、いつまでも血管と全身の健康を維持し、毎日をいきいきと過ごすために欠かせません。