佐和 これからの中学・高校の教員には、英語・国語・歴史なら文学部卒、理科・数学なら理学部卒、公民なら経済学部卒の人になってもらいたいですね。ティーチング・スキルやスクール・マネジメントを勉強してもらうために、途中で2年間ほど教職大学院で学んでもらう。今後の教員養成はそうあるべきですよ。話は変わりますが、私たちが受験生のころの大学進学率は9%ぐらい。大学入試にエントリーする人が少なかったから、当然、入試も易しかった。だから、夏目漱石や森鴎外などを読んでいるのは当たり前だった。実は私もそうだったのですが、マルクスにかぶれる高校生も少なくなかった。
坪井 高校で古典の読書をしながらでも受験勉強できるくらいの競争で、余裕があったということですね。現在は進学率も上昇しています。でも、一方でAO入試も増えていますね。
佐和 文科省はAO入試をもっと増やせといっています。面接とグループディスカッションで大学入試の判定をするなんて、企業の入社試験みたいでしょ。グループディスカッションなどやれば、口下手な地方の高校生は圧倒的に不利でしょうね(笑)。AO入試で協調性を判定するとのことですが、会社の入社試験が企業風土に合わない変わり者をスクリーニングするというのもアリでしょうが、大学入試でこれをやったら、数学の天才の多くが排除されてしまう恐れがあります。
坪井 確かに。『これならわかるよ!経済思想史』は、高校生の読者も念頭に置いて書きましたので、初めて選挙で投票する前に読んでもらえればと願っております。長時間ありがとうございました。