新燃岳《しんもえだけ》の
大噴火で流れた火山灰
第二は、東日本大震災によってフクシマ原発事故が起こる直前、2011年1月26日に起こった霧島連山の新燃岳《しんもえだけ》の大噴火である。
あの時、大量の火山灰は、NASAが撮影したこの写真のように、幸いにも川内原発と反対側の、宮崎県の方向に流れた。
もし逆方向に、西に向かう風であれば、川内原発がどうなっていたか分らない。
この「桜島」と「霧島連山」の噴火は、この地図から分るように、連動しているのである。ちょうど100年前の1914年1月に起こった桜島大正大噴火の時に、霧島連山・御鉢火口が噴火した4日後から桜島大噴火が始まり、直後にマグニチュード7.1という桜島大地震が起こったのだ。
それは、トテツモナイ巨大噴火と地震だったが、当時は川内原発が存在しなかった。そして、鹿児島県の南にある口永良部島《くちのえらぶじま》も、今年5月に大噴火しているではないか。
こういう危険性を何も知らない火山のドシロウトが、原子力規制委員会の田中俊一委員長なのだ。
次にこわいのは、本連載シリーズ第1回でもふれた、大地震である。
活発な火山に囲まれた川内原発を、大地震と大噴火が襲う日は、刻々と、目前に迫っている。では、大地震が起こった時に、川内原発のどこが破壊されやすいかを説明しよう。
川内原発・伊方原発・高浜原発・玄海原発など、再稼働の対象になってきた加圧水型原発(PWR)の危険性について、私が最もおそれている、メルトダウン事故のトリガー(引き金)になると考えられるのは、蒸気発生器の細管の連鎖的なギロチン破断である。
蒸気発生器とは、この加圧水型の原発だけにある巨大装置であり、原子炉より大きい。福島第一原発のような沸騰水型(BWR)では、名前の通り、原子炉の水が沸騰するが、加圧水型は名前の通り、大きな圧力を加えて、原子炉の中で水を沸騰させないようにしている。
では、タービンと発電機に送る水蒸気は、どこでつくるのか、というと、この図のように、左側の原子炉圧力容器で生まれた熱水が、赤い矢印のように流れて、蒸気発生器に入り、そこで熱交換して蒸気をつくる。