さらに、11月頃に連邦政府の債務上限を引き上げなければ、やり繰りが続いている米国政府はデフォルトしてしまうことになる。さすがに政府の破綻につながるような事態には陥らないだろうとみられているが、問題はリスクがある以上、その時期に満期を迎える債券の流動性が低下し、金利が急変動する可能性が高まることである。

 2010年5月の株式市場や2014年10月の債券市場、2015年3月の外為市場でも数分程度の短時間で相場が大きく変動する「フラッシュ・クラッシュ」、あるいは「フラッシュ・イベント」と呼ばれる事態が起きた。7月のイエレン議長による議会証言においても、債券市場の流動性について言及があり、一定の関心が寄せられていることがわかる。

 10月FOMCでの利上げ開始には、市場が安定化して利上げを織り込んでいることに加えて、これら財政関連の問題が起きていないことが必要である。

年内利上げ開始の可能性は高い
リスクがあるとすれば個人消費の腰折れ

 財政問題が解決していないのであれば、10月のFOMCでは、米国経済に「逆風」があるとの表現などを声明文に盛り込んで、利上げを見送る可能性がある。それでも、米国経済にネガティブな影響をもたらす市場の急落等がなければ、10月のFOMCで、海外動向が落ち着いて利上げの条件がほぼそろったことを示すだろう。

 11月までに債務上限の引き上げが確認できれば、17人のFOMC参加者のうち13人は年内利上げを想定しており(図表2参照)、市場は12月の利上げを織り込みやすい環境となっていると想定される。年内利上げを妥当とみなすFOMC参加者による市場との対話が活発化しているだろう。いわゆる過剰流動性の巻き戻しリスクが軽減されることになる。

 12月の利上げ開始をメインシナリオとして、年内の利上げの可能性が高まったとみられるが、2016年に利上げ時期を先送りされる可能性もある。イエレン議長の記者会見で個人消費の強さが米国経済の回復のメインドライバーであることを述べており、利上げ開始時期が2016年に先送りされるとすれば、個人消費の腰折れリスクが高まったときとなろう。

米国の年内利上げを確実にする3つの条件