強気な経営を貫いてきたソフトバンクグループが、傘下の米スプリントの苦境や、安倍首相による通信料金値下げの要請を受けて、急成長の反動ともいえる逆風を受けている。
9月24日、米アップルのスマートフォンの最新機種「iPhone6s」の発売前日のこと。
スプリントが発表した「iPhoneフォーエバー」は、いつまでも最新のiPhoneを月額1ドルのリース料金で使えるという破格のプランだ。8月には米TモバイルUSに追い抜かれ、業界最下位の4位に転落したスプリントにとっては、iPhone商戦は負けることが許されない背水の陣だ。
一方で、ソフトバンクが少数株主になる形で、米国内ではリース会社を新設する。スプリントはこのリースする端末を新会社に売却し、ユーザー数を増やしつつ赤字が続いているフリーキャッシュフロー改善への手を打つことになる。
2013年7月、ソフトバンクが216億ドル(約1.8兆円)でスプリントを買収してから2年超。常に成長を目指すソフトバンクにとって、11.6兆円まで積み上がった有利子負債は、次なる成長へのレバレッジ(てこ)の力点という意味で「誇り」でもあった。ところがTモバイル買収不発の誤算などによって、スプリントの経営再建は困難が続いている。
さらに今年6月以降、中国の景気減速の影響を受けて、約3割の株式を握っているアリババグループの株価が急落。収益を稼いできた国内通信事業も、安倍首相による料金値下げ発言を受け、収益低下のリスクにさらされている。
これまでソフトバンクの成長の方程式となってきたレバレッジ経営が、日米中の3方向から逆風にさらされているわけだ。