社長主導で採用すると失敗する!
さらに「社長が気に入ったから採用する」という風に、中小企業は社長主導で採用を決めることも多いのですが、それが入社後のミスマッチを引き起こす原因になっています。会社説明会には社長自身が登場して本気を応募者に伝えたほうがいいのですが、採否に大きく関与することに社長が口を出すのは、あまりおすすめできません。
社長の意見は絶対的かもしれませんが、そもそも新入社員と一緒に仕事をするのは社長ではなく現場のスタッフだからです。
現場がどんな人材を求めているのかを確認する際には、「スキル」「感情」「社会性」の3つの観点から以下のような感じで現場にヒアリングしていくと具体性が出てきます。
・スキル
現場に必要とされるスキルを挙げてもらいます。「○○ができる人」「○○力がある人」といったように、具体的に言葉にして確認します。必要とされるスキルが思い浮かばない場合には、逆に欲しくない人材は「○○ができない人」という消去法でも構いません。
・感情
一緒に仕事をしたい人、もしくはしたくない人のタイプを挙げてもらいます。「約束をきっちり守る人がいい」「控え目な人がいい」「相手の目を見て話さない人は苦手」「神経質な人はイヤ」という感じで、現場の声を拾っていきます。
・社会性
その人の社会性や仕事における意欲から人材像を具体化します。たとえば、積極性、協調性、責任感、達成意欲、チャレンジ意欲、勤労意欲などの面から、どういう人材が現場にマッチするのかを一つひとつ具体的な行動に落とし込み確認していきます。
こういった作業は少し手間がかかりますが、社長主導の採用に比べてミスマッチの確率は格段に下がります。
採用を成功させるには、「選考基準を整備する=自社が求める人材像を明確化する」ことが非常に重要です。
自社が欲しい人材を具体的に説明できるようにしておくと、採用面接で面接官の主観で評価するのを防ぎ、活躍できる人材も見つけやすくなります。
たとえば「前向きな人を採用したい」といっても、それではきちんと明確化したことにはなりません。「前向き」に対する捉え方は人それぞれ違うからです。
そこで自社にとって、どういう人が「前向き」なのか、実際の行動に照らし合わせて考えていきましょう。そうすると、たとえば「始業時間の30分前には出社する」「大きな声で挨拶できる」「自分から仕事を見つける」など、自社が求めている「前向きな人」のイメージがはっきり見えてきます。
積極的で協調性があって……と考えていくと、欲しい人材はどの会社も似たり寄ったりになるのですが、ベースの部分は似ていても、会社によって必ず違いが出てきます。会社には風土や理念といった独自のカラーがあるからです。
特に中小企業は自社の社風に合うかどうかが重要になってきます。他社で活躍していた人でも、新しい社風の違う場所で活躍できるかどうかはわかりません。たとえ同じ業種や職種でも、組織風土や仕事の進め方などによって、他社で優秀とされる人と、自社で優秀とされる人の人材像が一致しないことはよくあります。
つまり環境によって優秀の定義は変わるのです。転職して活躍できたり、できなかったりするのはそういうことです。