3つの面から採用力に磨きをかける

 私は採用活動を3つの面からとらえていますが、1つは面接官のレベルを上げること。そのためには前ページでお話した採用面接士の育成が重要です。

 2つ目は、面接評価シートなどを使用するということ。これは面接官、または採用時期によって、評価にブレが出るのを防ぎます。

 3つ目は、検査ツールの活用です。人が人を見抜く面接にはどうしても限界がありますので、性格も含めて客観性のある検査ツールを併用するのがベストだと考えています。

 これら3つの相乗効果により採用力はレベルアップし、雇用のミスマッチも軽減します。

 生まれつきの性質や性格を面接だけで見抜くのは大変難しいのですが、面接や面接評価シートにプラスして適性検査を活用すれば、人の目では見えない部分もデータから細かく確認していくことができます。

 そして検査ツールを活用することで、その人材の適性も分析できます。たとえば忍耐強いのか、几帳面なのか、感情的なのか、慎重派なのか……ということから、責任感の強さやストレス耐性までわかります。それを元に、営業向きなのか、事務系なのかといったことから、チームの配属を考える場合の参考データにも使えるのです。

 会社のすべては「人」にかかっています。募集・採用、配置、教育、評価、昇進・昇格、休職、退職までの一連のマネジメントを労務管理といいますが、この労務管理の質を向上させるには、まずは「人」の入口である採用活動のレベルアップが不可欠なのです。

 本書は、募集から選考、内定辞退の防止策、入社後のフォローまでをわかりやすくまとめました。就活生から選ばれる企業になるための実践可能な採用ノウハウ、ダメ人材を採らない技術などを中心に解説し、一冊読めば採用についての基礎的なスキルを簡単に身につけられるのが特徴です。

 次回は、ダメ人材の採用を避けるヒントについてご紹介します。