本の構成は「曼荼羅シート」や「マインドマップ」で作成

石原 CARITY会長である西田文郎先生から何かアドバイスはありましたか? 先生もかなりの数の本をだされていますよね?

髙井 本の内容に関しては完全にノータッチだったんですが、ひとつだけ言われたのは「本は残る」ということです。後で後悔するような本を出してはいけない。それを肝に銘じて、大事につくり込んでいきました。

石原 本を出すことだけが目的になってしまっている人も多いですからね。髙井さんも僕も経営コンサルタントに携わる自分の立ち位置とか、これまでのキャリアもあるので、本を出せばいいというわけにはいきませんよね。

髙井 本を出すことで逆に自分のブランドが下がってしまうようなものは出せませんから。

石原 今回が初めてとは思えない言葉ですね。1冊目からそういう発想を持って本を出しているのが素晴らしい。

髙井洋子(たかい・ようこ)
株式会社CARITY代表取締役社長。横浜出身。経営者として任された家具の販売会社を3年で事業拡大、オリジナル家具販売のフランチャイズ化、さらにオリジナル住宅販売、リフォーム事業などを手掛け、立上げから3年でグループ年商70億円を達成。その後、経営コンサルタントに転身、2012年に優秀なブレーンとともに会社を設立、代表取締役社長に就任し、現任。現会社の経営の中心である中小企業の経営者を対象にした「ビジネスモデル塾」は高額にもかかわらず人気で、3年ですでに34期を開催、全国500社を超える多くの中小企業経営者が通う行列のできる講座となっている。現場感覚を持ち込んだビジネスモデル構築や戦略、戦術策定の指導、アドバイスを行い、V字回復した会社も数多く、中小企業の現状打破、業績向上に貢献。世の中のビジネスモデルを分析し、どのように儲けているかを検証するのが趣味で、この本の主人公と同様、「儲けるなんて、簡単よ」が口ぐせ。

髙井 やはり本を出すからにはたくさんの人に読んでいただきたいですし、いろいろ考えますよね。私は構成を練るとき、曼荼羅シートを使いました。1章はこういう内容にして、2章にはこれとこの要素を入れようとか、全部書き出して表にしていくのですが、石原さんは何か利用されていますか?

石原僕の場合はマインドマップを使いますね。1冊目のときはマインドマップを思いつかなくて、頭の中だけで組み立てていたんです。ずっと脳をフル回転させていたので非常に大変でした。2冊目からはマインドマップを使うようにしたので楽になりましたが。

髙井 そういうツールを使った方が完成度も高くなって上手くいきますよね。私の本はストーリー仕立てなので、感動がぐっとこみ上げてくるようにしたかったんです。ビジネス書はどうしても単調な展開になりがちですよね。そうならないように、伝えたいポイントをしっかり際立たせていく。西田文郎先生がおっしゃるような、感情脳に訴えて、感情を揺さぶり、記憶に残るようにしました。

石原 確かにそうですね。書くことで精いっぱいになってしまって、感情を揺さぶろうと思って書いている人は少ないかもしれない。

 僕が今回の本で事例をたくさん出すことにこだわったのも、同じような感じです。取り上げた事例は、ほぼすべての業種の人がどこかで引っかかるようにしました。先ほども言ったように、ただ読んだら終わりという本にはしたくなかったからです。読者がどういう仕事をされていてもしっかり実行に移せるまで手引きする、そこを目指しました。