この戦略は、「モスのハンバーガーのほうがマックより手間がかかっているからおいしい」というイメージを、消費者に持ってもらうことに成功しました。さらに、使用する肉や野菜の産地を明らかにするなど、安心安全を強調しています。結果、「モスファン」と言われる固定客を掴むことに成功し、マクドナルドの影響を受けにくいビジネスモデルをつくり上げました。

 それに対してロッテリアは、マクドナルドと同じ戦略をとっているため、マクドナルドが店舗を拡大したり、低価格戦略をとったりすると、苦しい戦いを強いられる可能性が高い。業界で2位以下の企業は、自分の持っている力やポジションに応じた戦い方をすることが大事なのです。

実はユニクロと全く違う?
しまむらの周到な立地・顧客戦略

 アパレル業界に目を移しましょう。ファッションセンターしまむら(しまむら)は、ファストファッションのプレーヤーの中で圧倒的に強いユニクロ(ファーストリテイリング)と競争をせずに済むビジネスモデルを、周到につくり上げています。両社のビジネスモデルは同じように見えますが、実は全く違うのです。

 まず、立地戦略です。ユニクロの店舗は人目につき易い都心に多いので、消費者の多くはユニクロの店舗の方がしまむらよりも多いと思い込んでいるでしょう。しかし実際のところ、しまむらの店舗数はユニクロより1.5倍も多いのです。にもかかわらず、ユニクロより店舗が少ないように見えるのは、彼らがロードサイド(郊外)に的を絞って出店しているからです。

 通常アパレル企業は、青山や六本木など、ファッションに敏感な若者が多く集まる都心を狙って出店しますが、そこはユニクロ、ビームズ、ユナイテッドアローズ、H&Mなど、競合他社の店舗がひしめき合う激戦区。自分たちが出店しても勝てないということを、しまむらは知っているのです。

 では、客層をどこに定めているのか。最もファッションにお金を使う消費者のセグメントはOLや女子大生ですが、彼らは郊外ではなく、都心に集まります。そのためしまむらは、そうした客層を捨て、都心よりも郊外で買い物をする頻度が高い主婦と女子中高生に顧客ターゲットを定め、彼女たちが「カワイイ」と共感する服を提供しています。

 郊外は消費者の絶対数が少ないので、そこで稼ぐために徹底したローコスト・オペレーションも実施しています。店内で売っている服の多くは1000円以内と格安。古着屋で売られているものと変わらない価格の服でも、主力顧客である主婦や女子中高生にとっては、十分魅力的に映るのです。