では41歳以下女性ではどうか。この医師が勤務する病院の不妊治療結果データによると、体外受精の場合、出産率ベースでは、34歳以下女性で37%、35歳から39歳女性で24%、40歳・41歳女性だと17%になる。同様に顕微授精では、34歳以下女性は32%、35歳以上39歳以下女性だと17%、40歳・41歳女性では3.9%になるという。

 体外・顕微授精いずれにおいても、年齢が高ければ高いほど出産率は低くなり、体外受精に比して顕微授精のほうが年齢問わず下回る傾向にある。また34歳以下女性では、体外・顕微授精どちらもさほど出産率に違いはないものの、35歳以上になると体外と顕微授精、その出産率に大きな開きが出てくることがわかる。

加速する不妊治療の高齢化
だがその負担は極めて大きい

 こうして見ると、不妊治療でターニングポイントとなる年齢は35歳と言えそうだ。これはWHO(世界保健機関)や日本産科婦人科学会が「高齢出産」とする年齢だ。

 一方で、母親が35歳以上で出産した人の割合は2000年の11.9%から2011年の24.7%、40歳以上では同1.3%から3.6%と増大*3するとともに、不妊治療を受ける人のうち40歳以上女性が全体に占める割合が、2008年の32.1%から、2010年には35.7%に増加*4している実態が明らかとなった。

「妊活という考え方が世に浸透し、不妊治療を行う人が増えてきた。また35歳以上での出産が増えてきたことで、『自分も出産できる』と考える人がいても不思議ではない。ここ10年、著名人、芸能人の方による高齢出産事案が相次いだことも大きい」(厚生労働省課長補佐)

 なかでも、2012年、ラジオパーソナリティの坂上みきさん(当時53歳)による男児出産の報は、子宝を待ち望む女性たちの間でインパクトをもって迎えられた。16年に及んだという不妊治療の末の出産劇は、子どもを望みつつもなかなか恵まれないでいる世の女性たちを勇気づけるに余りある。

 しかし医療界ではこうした動きを警戒する。「おめでたい話です。ですが、極めて稀なケースです。不妊治療は資力、体力、精神を大きく疲弊させます。坂上さん出産の報以降、不妊治療を続けてさえいれば誰でも子宝に恵まれると思い込む人が増えた観がある」(前出の産婦人科医)。

 実際、負担は女性はもちろん、男性にとっても極めて大きい。その結果、“妊活離婚”に至ってしまうケースすら珍しくない。

*3:厚生労働省「不妊治療をめぐる現状」

*4:平成25年「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告書」