独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正スキャンダルが、次なるステージに突入した。11月に入り、新たに二つの不正が発覚したのだ。
一つは、VWグループの稼ぎ頭である高級車ブランドにも問題が波及したことだ。11月2日、排気量3000ccのディーゼルエンジンでも違法ソフトウエアを使用していたとして、米環境保護局(EPA)が違法勧告を公表した。
今年9月のEPAによる違法勧告で発覚した排ガス規制逃れでは、グループの中核ブランドであるVW「ゴルフ」(第6世代)や「パサート」(第7世代)、アウディ「A1」など1200~2000ccの小型車が対象だった。
ところが今回、VWの高級車部門であるアウディのセダン「A6」やSUV(スポーツ用多目的車)の「Q5」、ポルシェのSUV「カイエン」など、約1万台の高級車にも違法ソフトが搭載されていたことが発覚、実際の走行時には基準値の9倍のNOx(窒素酸化物)を排出していたという。
そもそも、排ガス規制は技術的にクリアするのが難しいというより、「原価に制約がある」(自動車メーカー幹部)中でクリアするのが難しいというのが、自動車業界の大方の見方だった。だが、低価格の小型車に比べて原価の制約は小さいはずの大型高級車でも不正を行っていたのなら、すんなりとは理解し難い話である。