選挙結果への反応を見ると、「NLDが大勝したことはサプライズだった」と地元メディアは報じている。事前の予想ではNLDが優勢と見られていた一方で、USDPも世論調査で民主化後の政策運営を評価されていたため、USDPの健闘が期待されていたからだ。実際の投票に際しては、有権者はUSDPの政策を評価しつつも、その背後にいる軍部を敬遠してNLDを支持したようだ。

 諸外国の反応を見ると、各国が派遣した選挙監視団はいずれも選挙は適正に執り行われたと評価している。依然として一部の経済制裁を続けている米国については、政府報道官が今回の選挙結果を「ミャンマー民主化プロセスの重要な一歩である」と評価した。

 また、東アジア担当のラッセル米国国務次官補は、米国が残された制裁を解除するかは時期尚早としつつ、「さらに民主化が続けば制裁を見直すハードルは下がる」との見解を示している。

日本企業の進出が急増するも
根強い経済政策の不透明感

 もっとも、米国はすでにミャンマー向け金融サービスの提供、米国企業による新規投資、ミャンマー産品の禁輸措置をほぼ解除しており、残された制裁はヒスイとルビーの禁輸措置程度であるため、さらなる制裁解除の影響は小さいと言えよう。むしろ、軍部との関係や人権侵害などを理由に、米国政府の特別指定国民(SDN)リストに掲載されているミャンマーの企業や個人に関して、米国の企業や個人に対して取引を禁じている措置の取り扱いは、今後も個別事情に基づいて判断されるため、民主化が進んでも解除されるとは限らない。

 NLDの大勝に対する金融市場の反応を見ると、9月半ばまで急落していたミャンマー通貨チャットの対ドル相場は、その後は横ばい圏内で推移していたが、選挙後は再び下落している(図表1参照)。株価については、ミャンマーでは12月9日に証券取引所が開設される予定だが、隣国タイではミャンマー関連のビジネスを行うタイ企業の株価が開票直後に軒並み下落し、NLDの経済政策は不透明であることが要因と指摘される。

 タイの株式市場が神経質になっているように、NLD政権が直面する最大の課題は経済運営である。現地メディアの世論調査でも、新政権への期待として「経済発展」と答えた人が50%と最多だった。また、NLDの経済政策は日本にとっても大いに注目される。