いずれにしても、民間賃貸住宅に関する対策は共通しており、

・貸主が「リスク」と考えることがらに対し、具体的な解決策(例:生活保護の家賃代理納付制度・家賃や住宅修繕に対する保険・単身居住者に対する見守りサービス)の存在と利用方法を提示する

・家主が「その人々は敬遠したい」と考える原因に対し、どうすれば解決できるかを提示する(例:聴覚障害者に対して筆談を行う・知的障害者や精神障害者の支援者の存在と連絡先を知っておく)

・賃借人が安全・快適に生活できるよう、環境を整備する必要性と、そのために得られる公的支援を提示する(例:バリアフリー改修工事・ひとり親世帯向けのキッズルーム設置工事に対する公的助成の存在と利用条件・利用方法)

・家主が貸借人に対して持つ不安を軽減すること(例:契約事項が守れることを入居前に確認する)

 に尽きており、「ちんたい協会」のパンフレットは、そのような内容になっている。

 この他、国土交通省住宅局・住宅総合整備課長の北真夫氏は「空き家特措法」について、厚生労働省職業能力開発局・海外協力課室長補佐の池田陽平氏は外国人技能実習生の住宅確保について、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官の大塚弘美氏は災害時の応急借り上げ住宅について、行政としての取り組みを語った。いずれも非常に興味深い内容だったのだが、最後に大塚氏の講演から一部を紹介する。

「財界からは、『(注:災害時の応急仮設住宅のような住の)支援は不要ではないか?』という意見もありますが、避難所は恒久的な暮らしの場ではありません。学校の体育館で数ヵ月から数年暮らすなんて、無理です。自宅を再建するのも、簡単にはできません。仕事を失った場合には、新しい稼ぎ方を考える必要があります。稼ぎ方によっては、暮らす場所も暮らし方も変わります。町・村単位でインフラが壊れてしまった場合、たとえば道路復旧前に自分の家だけ再建することはできません」

誰もが「住宅弱者」になりうる日本の構造的問題を考える「ちんたい協会」が提供する「安心ちんたい検索サイト」。いわゆる住宅弱者も対象としている賃貸住宅の情報を、フリーワード検索することができる
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 住宅弱者の問題とは、平時には生活保護・シングルマザー・下流老人の問題であるかもしれない。しかし、日常を非日常に変えてしまう災害などの事態が発生すれば、あらゆる人々に降り掛かってくる可能性がある問題である。さらに言えば、「住む人」だけの問題ではなく、「住居を提供する人」にとっての問題でもある。

 なお「ちんたい協会」は、生活保護利用者に対する住居提供への取り組みを開始した2015年6月以来、川崎市とも協議を重ね、「安否確認センサー付き賃貸住宅」を提供して簡易宿泊所に居住する人々とのマッチングを開始している。

 このような地道な取り組みが、長い時間をかけて、幸せな人々の多い社会へとつながることを期待したい。

 次回は、2015年11月に沖縄県宜野湾市で開催された「公的扶助研究会全国セミナー」からの話題を紹介する。全国の生活保護ケースワーカーは、特に深刻な貧困問題を抱える沖縄で、何を知ったのだろうか?