他方で、不透明な租税特別措置が相変わらず合理的理由が示されないまま存置されているのも問題である。そこで、民間税調は、この不合理な租税特別措置の大幅縮小から手をつけるべきことを提言している。

 消費課税については、この負担が保険料と並んで逆進性をもっているだけに、安易な引き上げには躊躇せざるを得ない。他方で、引き上げない場合の我が国財政のリスクを考慮せざるを得なかった。その結果、消費税率の引き上げ自体はやむを得ないと判断した。

 そこで、その場合に生じる逆進性をどう調整すべきかが問題となる。まず、消費税の枠内で調整しようという軽減税率などは最悪の方法であり、税制を歪め、かえって不公平・不公正を助長することになるので、導入してはならない。次に税制全体の中で調整する給付付き税額控除構想があり、番号制度が発足した現時点では具体化可能な調整案として検討すべきと思われる。もちろん、長期的には、歳出の透明化と公正化を通じた調整、つまり負担の逆進性を歳出面で調整する社会を目指すべきである。

(3)社会保障と税・保険料の一体的改革と公平性

 年金や医療などの社会保障制度は国民にとって必要不可欠なものになっている。今後ともこれを維持していかなければならないが、現在の制度は戦後の高度成長時代に作られたものであり、制度疲労を起こしている。政府も与党もこれまで社会保障と税の一体改革を幾度となく口にしてきたが、消費税増税などの財源論が中心であり、我が国の社会保障制度の何が問題なのかについての分析はほとんどなく、その内容の実態は社会保障・税の別々改革である。

 現在の社会保障制度の問題は、第1に、社会保険料の逆進性である。つまり、所得の高い人ほど、所得に対する保険料の負担割合は低い。だから、国民年金では約4割が決められた保険料を払っていない。年収100万円、200万円の非正規の人には、「払えない」といってよいだろう。

 第2に、社会保険に大量の一般財源(税)が投入され、また、異なる保険制度の間で財政移転が行われていることから、負担と給付が乖離し、保険の規律が働いていない。例えば、基礎年金の第1号被保険者(自営業者や非正規雇用者などが対象)の保険料は、原則所得にかかわらず1人1月約1.5万円、第2号(サラリーマンや公務員)は不明(報酬比例と併せて徴収)、第3号(第2号の配偶者)はゼロである。市町村国保の保険料負担は収入全体の4分の1に過ぎない。保険料の負担額さえ明確ではないのが、我が国の「保険」の実態である。そして財源の不足は一般会計に転嫁され、財政赤字の拡大を招いている。

 第3に、再分配のために一般財源の投入や制度間の財政調整が行われているが、問題は負担と給付の仕組みが不公平で、特に貧しい若者が豊かな高齢者を助けている状況(例えば、年収150万円の若者が払った消費税が、基礎年金制度を通じて、大会社を卒業したOBの厚生年金の財源に充当される一方で、若者は十分な年金給付を得られない)になっている。