就業者の確保には大胆な待遇改善や
外国人受け入れが必要不可欠に

 これには、すでに触れてきた就業者の確保が先決である。それも、膨大かつ中長期にわたる安定確保が必要で、実現には大胆で、飛躍した施策の導入が不可欠である。その施策とは、次の3点である。

 1つには、大胆な待遇の改善である。子育てや介護の職種は、厳しい資格試験がある上、いわゆる3K職場でもある。それにもかかわらず、関連産業の約3分の2でワーキングプアや非正規雇用者などの比率が高く、就業者の社会貢献意識に依存している面が強い。待遇の大幅改善で、新規、既卒、中途採用を問わず、就業者の参入を積極的に促し、受け入れていくことが必要である。

 厚生労働省によると、現役の保育士は今、全国で約40万人いるが、資格を持ちながら、子育てなどで離職中の潜在保育士は約70万人もいる。子育てと仕事を両立できる環境を整えて、潜在保育士の復職を促進すべきである。

 2つには、外国人労働者の積極的な受け入れである。高度な人材に限らず、保育や介護の分野でも熱意と誠意のある担い手を海外に求め、一定のOJT(職場訓練)と資格試験を義務づけて、正規雇用していく必要がある。介護離職者はすでに年間10万人を超え、増加の一途を辿っている。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者の仲間入りする2022年以降は、団塊のジュニア世代による介護離職者が急増すると予想されている。これを防ぐには、医療・介護分野への就業者を500万人増員する必要があり、外国人の受け入れなしには介護ニーズを満たすことはできない。

 3つには、IT{情報技術}をはじめ、AI(人工知能)やロボットなど、イノベーションによる業務改革の推進である。これらの技術革新はこれまで保育や介護の分野の仕事とは馴染みが薄かったが、介護・保育従事者は業務日誌の作成など、管理業務上の仕事量も多く、ITによるシステム化で煩雑な業務負担から解放される。いわゆる3Kの緩和をはじめ、子どもや非介護者との人間的な触れ合いにおいても、ソフトウエアの拡充や強化により、進化したAIやロボットで代行できる面がすでに増えてきている。保育士や介護士の離職者の中には、煩雑な業務が負担で離職する者も多く、その処理によりサービス残業を強いられる職場でもある。

 このように、人手不足の手当て・充足も結局は恒久財源の長期安定確保次第であるが、恒久財源の長期安定確保はさらなる難題である。しかし、この課題解決こそ、一億総活躍社会の実現を政策ビジョンに掲げた安倍首相の政治家としての大仕事である。突き詰めていくと、財源論には3つしかない。1つには、税金による歳入の増額である。2つには、歳出の削減である。3つには、赤字国債の発行である。このうち最も安易なのが3つ目であるが、日本の国・地方の債務残高の名目GDP比率はすでに世界最悪で、200%を超えている。子々孫々へのつけ回しをこれ以上増やしてはならないことは言うまでもない。