──関連する民法733条の第1項「女は、前婚の解消または取り消しの日から6か月を経過した後でなければ、再婚することができない」については、昨年12月16日、最高裁判所大法廷が「再婚禁止規定について100日を超える期間の部分を憲法違反」と判決しました。それを受けて、法務省は再婚禁止期間を100日とするように全国の自治体に通知し、民法改正の作業も進めています。どう判断されますか。

 「再婚禁止期間を6か月(180日)から100日に変更する」というのは、全く意味がないと思います。そもそも女性だけに再婚禁止期間を設定しているのは、男女平等を定めた憲法14条に反します。

 また、今回の日数変更は、民法772条第2項の「婚姻した日から200日を経過したのち、または婚姻の解消・取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に妊娠したものと推定する」(つまり再婚200日後は現夫の子、離婚300日以内は前夫の子となる)という規定に対して、再婚禁止期間が180日だと、離婚180日後に再婚し妊娠して120日を超えて200日以内に出産した子については「嫡出推定」が及ばなくなるという “穴”を埋めるためのものですが、そもそもの200日や300日の規定がおかしいのです。

 望ましい改善策は、民法733条は撤廃し、民法772条は第2項を撤廃して、第1項の「妻が婚姻中に妊娠した子は、夫の子と推定する」を、「妻が婚姻中に妊娠もしくは出産した子は、夫の子と推定する」と改正することです。もし、前夫の子かもしれないというのなら「認知調停」で決着をつければいいのです。

──井戸さんたちの活動はボランティアで、電話相談を24時間受け付けています。井戸さんだけでも13年間に1000人以上の相談者の支援をしていて、1つ1つの案件は時間と資金がかかり、苦労されています。なぜ、ここまでするのですか。

 心細くて、切ない、あの体験を他の人にしてもらいたくないんです。苦しんだ私が何も言わない、何もしないと、同じ苦しみを味わう女性が続きます。当事者にならないと、この異常な事態はわからないと考えたら、何かしないではいられませんでした。私の夫も、「自分たちだけ助かって、問題をそのまま放置しておくのは卑怯ではないか」と言ってくれました。

 また、私の子どもが無戸籍状態から救われたのは、冒頭にお話しました40年以上前の女性の訴えと判例があったからです。あれがなかったら、今頃どうなっていたかわからない。助けてもらった私は、次に同じような苦境に立たされた人がそこから抜け出てもらうための一助とならなければいけないな、と思うのです。