と、これは半分冗談も交えた提案ではあるが、要はエネルギーをめぐる議論は私たちの生活にとって極めて大切なものであるにもかかわらず、遠い他人事的な議論に終始してしまいがちな点に対して問題提起したい。

 たとえば、中立的な機関として国会に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)が作成した報告書には、7つの提言が明記されているが、目を通した有権者は何人いるだろうか。

 絶対的な安全などない。福島の原発事故から5年の月日が経過し、経済的観点から再稼働を歓迎する声も大きくなってきたように感じる。しかし、たとえば最終処分場を我が地元に持ってきてもよい、というくらいの覚悟を示さずして、原発再稼働に賛成することは安易ではなかろうか。

「円安」と「原油安」は加速するか?
米国利上げとTPPの吉凶を占う

 12月16日、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は、リーマンショック以来続けてきたゼロ金利政策をやめ、利上げを決定した。このことで、利率の高いアメリカへ資金が集まり、日本からも資金が流出することで円安に拍車がかかるとの見方が強まっている。筆者も長期的には円安傾向が続くだろうと見ている。

 一般に円安は輸出産業にとって有利に働き、輸入産業にとっては不利に働く。一方で、日本の輸入総額の多くを占める天然資源については原油安が続いている。OPEC(石油輸出機構)が減産見送りを決定したことで、原油価格は当分の間、低迷することがほぼ確実視されている。

 この円と原油の「ダブル安」は日本経済にとっては当面プラスに働くと思われる。円安によって日本の自動車などの工業製品を世界に売り、一方で原油安で価格が下がったエネルギー源を購入するという形は、大局的に見れば日本にとって有利に働く可能性が高いと思う。この状況で昨年大筋合意されたTPPがどういった影響を与えるのか、見逃せない。

 有利な外部要因に「安穏」としていてはいけない。世界経済の流れが日本にとって有利に働いているときこそ内に目を向け、規制緩和やイノベーションで内需を喚起し、多様な経済活動を鼓舞することが大切である。過去最大の一般会計予算案が国会でどう議論されるのか、見ものである。過剰な財政出動が民業を圧迫し、自由貿易による市場拡大のチャンスを逃すことのないよう審議すべきである。

 ここまで安全保障、エネルギー、経済・貿易と、注目すべき政策を概観してきた。現政権がこれらの政策について国民に問うとともに、これまでの政権運営について有権者からの審判を受ける機会こそが、今年7月に行われる予定の参議院議員選挙である。

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