「診察のときに、パソコンの画面だけ見て、薬の処方せんを出すと、終わりを促すように、わずか3分ほどで立ち上がる精神科医が多い。そんな中、私たち当事者や家族の話を真剣に聞く精神科の医師たちに感動しました」
と、前出の女性は、この構想会議の議論の進め方に驚く。

 長妻厚生労働大臣も、4月3日の第1回会議に出席。

「いまや精神疾患は、国民病であり、国を挙げて取り組まなければならない課題になった。精神疾患は、5人に1人以上が一生の間に罹患する可能性がある。英国は、精神疾患による経済損失は、数兆円に上ると公表している。これから必要なのは、当事者や家族の意見を十分聞いていくこと。政策の中で、反映できるものは反映させたい」
と、1歩踏み込んだ発言をしていた。

人間関係が苦手で仕事一筋に
しかし働き過ぎで「うつ病」を発症

 事務局を務めた、東京都精神医学総合研究所の西田淳志研究員(医学博士)によると、ここでいう精神疾患とは、統合失調症だけでなく、うつ病や不安障害、パーソナリティー障害といった、すべての疾患が含まれていて、「ひきこもり」の人たちも大きく関係していると説明する。

 自殺者は、12年連続で年間3万人を突破。同会議では「うつ」と「自殺」対策も、重要な課題となった。

 銀行員だった女性は、ある日、同僚が「もう辞めちゃえばいいのに」とポロっといったことが耳に入り、職場を辞めた。職場内の周囲との関係が耐えられなくなっていたことや、医師からも「仕事を辞めれば、元気になるよ」といわれ、辞める決心がついたという。

 彼女は、仕事をし過ぎたために、「うつ病」を発症していた。しかし当時、「うつ病」の知識がなく、自分に何が起こったかわからないまま、周囲の同僚に振り回されていた。

 当時、銀行業界は未曾有の危機に追われていて、リスト管理のセクションにいた彼女は、仕事内容が急増。しかも急激に変化していくため、残業の日々が続き、先が見えない中、不安な毎日を送っていた。

「こんなことを続けていたら、自分はダメになる」

 そう我慢しながら、半年後に銀行を辞めようと思い、友人にも会わず、仕事一筋になった。それが裏目に出て、週末も気分転換ができず、24時間、仕事のことだけを考える毎日が続く。そのうち、眠れなくなって、思考能力も鈍ってきた。

 しかし「この仕事は、自分がやるしかない」と考え、泣きながら頑張ってきた。