太陽光発電設備が最適?
これまでの減価償却の主役たち

 これまで企業では、どのようなケースで減価償却が行われて来たのか、振り返っておこう。

 2014年には、太陽光発電設備が最も適した資産だった。一定の要件を満たせば、「グリーン投資減税」が適用され、購入した年に全額償却ができたからだ。2015年には同様の手法が「生産性向上設備投資促進税制の活用」で使えた。要件を満たす太陽光発電設備は2000万円くらいするので、通常であれば法定償却年数に分けて減価償却費を計上しなければならないところを、特例として全額を経費にすることができたのである。仮にその年の経常利益が2500万円とすると、2000万円の太陽光発電設備を購入すれば、決算を500万円の黒字で低い税負担にできたわけだ。また、中小企業の場合は先ほどの低い法人税率が適用される。

 もし法人が前述のような方法で損失計上すれば、9年間にわたって将来の利益と相殺することが可能で、利益の出ている企業にとっては魔法のような設備であった。ただ、計算上はすごくよい資産なのだが、購入のためのローンを組みにくいという欠点もあった。また台風による暴風や暴雨、落雷などによってシステム故障を起こしたり、日照時間が短いと発電量が少なくなったり、と見えないリスクがたくさんあった。産業用太陽光発電には、買取制限もある。

 このような100%償却できる資産はなかなか世の中にないので、利益がたくさん出ているのであれば、太陽光発電設備をすでに持っていて赤字が出ている会社を買収するという方法もある。

 また、オペレーティングリースという方法もある。飛行機やヘリコプターを購入して貸し出し、賃借料を得るというやり方だ。オペレーティングリースでも減価償却費を計上できる。飛行機やヘリコプターよりも価格が安い、海上輸送用コンテナを使ったコンテナリースという方法もある。

 これらの方法の難点は、資産を海外の企業に貸し出すことが多くなるため、途中までのキャッシュフローは決まっているけれど、最後が決まらないことである。

 たとえば、飛行機を海外のLCC(格安航空会社)に貸し出した場合、最後の残価がプラスになったりゼロになったりして、固定することができないのである。売却してお金が返ってくるときには為替リスクもあり、利回りもそれほどよくない。

 毎年の決算で利益の繰り延べはできるが、賃借期間が終わる8~9年後は何が起こっているかわからないという不安がある。売却するときの価格がわからないのが一番の問題なのだ。また、一部報道では法人税率を下げる方向にあるため、こうした償却の前倒しをする資産を定額で毎年均等にしかできないように改正される可能性もあるという。