決断したプロセスを「説明」する
とはいえ、伝書鳩のように、つねに何でも正直に伝えていては、組織やチームに混乱を招きます。何を伝え、何を伝えないのかもまた、リーダーが判断すべき重要なポイントです。
たとえば、直感で決めたことを、そのまま「直感で決めた」とメンバーに語ってしまったら、間違いなく誤解を招きます。
そこで必要なのは、決断したプロセスを「説明」することです。あと付けでもいいので、「なぜそこに向かうことにしたのか」についての論理を組み立てて、しっかりと伝えるのです。
たとえば、自動車メーカーのトップとして「これからは電気自動車マーケットに参入する」という決断を下したのであれば、数十年先を見据えた大きな社会的変化、自社の強みなどとともに、決断に至るまでの物語を伝え、社員にも、株主にも、消費者にも、しっかり納得・共感してもらわなければなりません。
従業員だけでなく、株主や消費者にも理解してもらえれば、周囲の期待感に押され、メンバーのやる気はぐんと高まるでしょうし、さまざまな方面からの応援も得られるはずです。
納得してもらうための説明をすること、共感を得るために心に深く届けることは、リーダーの重要な仕事の1つです。
次回からは、せっかくつくったビジョンを「絵に描いた餅」で終わらせずに、いかにしてメンバーに浸透させ、実際にチームを機能させていくかということについて、さまざまな事例とともに見ていくことにしましょう。
(第13回へつづく・2月24日公開予定)