繰り返し語って自身に刻み込む

自らの納得感がなければ、立派なビジョンも「空虚な言葉」でしかないことを心得るべきです。先代からずっと継承されてきた考え方だとしても、まずはそれについて徹底的に考え直し、それを我がものとしていくプロセスが必要なのです。

「そうは言っても……もともと自分が考えたビジョンじゃないんだし……心底から共感するなんてそもそも無理だよ」

そう言いたくなる人もいるかもしれません。
しかし、創業社長ですら最初から自分のビジョンに100%の確信を持っているかというと、そんなことはないと思います。

朝礼でも、会議でも、お酒の席でも、繰り返し繰り返しビジョンを語る社長は、メンバーにだけではなく自分自身にも、そのビジョンを深く刻み込んでいるのだと言えます。

人に話しているようでいて、じつは自分に語りかけている。その意味では、自己暗示とも言えるかもしれません。語れば語るほどビジョンの精度が増し、自らの考えが整理されていく、ある種の自己強化プロセスを取り入れているのです。

直感での决断を、
論理的な言葉に「変換」する

ビジョンが少しずつ自分の腑に落ちてきたら、次に磨くべき能力は、「説明力」です。もちろん、スキルとしての説明力をどう磨くかということもあるのですが、それ以前に心に据えておくべきことがあります。

それは「誠実さ」です。

リーダーの説明力のベースには、「嘘をつかない」「正直に伝える」「いい加減にしない」といった誠実さが不可欠です。どれほど高い説明スキルがあろうとも、誠実さがなければビジョン伝達には役立ちません。