しかし、いつものことではあるのですが、政府は自分たちの役所の権限強化や予算増につながる振興策には熱心な一方で、規制改革についてはとても前向きと言えません。

 その典型例は民泊を巡る議論でしょう。Airbnbなどを活用した民泊についての政府の動きをみると、国家戦略特区の枠組みを活用した東京都大田区は民泊を旅館業法の対象外としました。これは、自民党の平将明先生が主導した非常に正しい規制改革の動きと言えます。

 それに対して、霞ヶ関が検討している全国レベルでの対応をみると、民泊を旅館業法の枠組みの中に取り込み、従来のホテルよりは規制の内容が多少は緩いけれど、それでも民泊サービスを提供するすべての者に旅館業法上の許可を取らせようとしています。

 しかし、法律上の許可を得るというのは手続き的に煩雑だし心理的にもハードルが高いことを考えると、これでは民泊を大規模に展開しようという企業しか参入しないでしょう。片手間に民泊を提供しようと考えている個人が大挙して行政の許可を得るというのは考えられません。

 同様のことがAIでも言えます。AIはあらゆる産業に応用可能ですが、教育の分野におけるAIの活用ではリクルートが提供する“受験サプリ”がもっとも有名です。AIの専門家である大学教授と民間企業が組むことで、素晴らしい学習サービスを提供しています。

 それでは同様のサービスを学校教育で提供できるかとなると、それは現状のがんじがらめの規制の下ではほぼ不可能です。“受験サプリ”は塾という非規制のサービスの範疇に入るからこそ、AIを応用した取り組みが進んでいるのです。