実は、タイトル『伝え方が9割』には、反対意見もあった
佐々木 「『伝え方が9割』って、では中身は1割なんですか?」なんて言われることがありますが、そういうことではありません。日本人は中身をすごくつきつめるがゆえに、伝え方についてあまり考えなくて、放置してしまうことが多いんです。タイトルには、「中身を磨くだけではなく、伝え方も大切にしましょう」という意味を込めているんですよ。
土江 そういえば、この『伝え方が9割』というタイトルには、当初、反対意見も結構あったんですよね。佐々木さんと僕と、編集部の飯沼と3人で死ぬほどタイトル案を出し合ってねりに練って決めたんですが。
佐々木 タイトル案、本当にいっぱい出しましたよね…あれは死ぬかと思った!「本のタイトルとキャッチコピーは違うんですよ」と何度も土江さんに怒られて(笑)。
土江 怒ってはいないですよ(笑)有名なコピーライターに向かって、申し訳ありません…。
佐々木 いや、おかげでとことん納得のいくまで考えられました。でも、それで決まったタイトルに対して、「全然コンテンツの内容を説明していないタイトルだけれど、これで本当にいいの?」という意見もありました。
土江 ベストセラーをたくさんデザインされている装丁家の水戸部功さんが素晴らしいデザイン案を出してくださって、それを見たらみんな「このタイトルいいね!」と、意見がかわりましたね。
佐々木 いや~、最初にこの表紙デザインを見た時、すごく戸惑いましたよ。使われているカラーが、ピンクでしょ?僕の今までの人生でピンクって色がなかったので、ものすごく違和感がありました。おそるおそる「…本当にピンクでいいんですかね…」と聞くと、土江さんも飯沼さんも「ピンクがいいんです!」と言い切る。じゃあ2人を信じようって。
土江 ビジネス書の平台の中で、このシンプルなカバーデザインにこのピンクは相当目立つだろうなと。そして、本の内容からしてビジネスパーソンの方には間違いなく買っていただけると思っていましたが、ピンクにすることで女性も含めてより多くの方の目に留まるのではないかと思ったんです。
佐々木 結果的には、2人を信じて本当に良かったです。そして、自身の本が書店に平積みで置かれている…という感動はものすごかったですね。僕はコピーライターなので、初めて作った広告が世の中に出た時も感動したのですが、全く同じ感動がそこにありましたね。そして、広告には、佐々木圭一という自分の名前が出ることは絶対にないんですよ。でも、本には載っている。あまりの嬉しさに、書店内で「これ、僕が書きましたー!」って大声で叫びたいのをギリギリおさえて、心の中でこっそり叫びました(笑)。