営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝の「社外プレゼンの資料作成術」を全公開。本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

「課題→原因→解決策→効果」でロジックを組む

 ビジネス・プレゼンは、「ロジカル(論理的)」でなければなりません。
これは、「社内プレゼン」「社外プレゼン」双方に共通する基本的な条件。ビジネス合理性のないものは誰からも許容されませんから、当たり前のことです。ただ、「ロジカル(論理的)」といっても、難しく考える必要はありません。なぜなら、ビジネス・プレゼンで求められる論理展開のパターンはたった1つだからです。それを図示したのが下図です。

ビジネス・プレゼンの「論理パターン」は、<br />たった1つマスターすればOK!

「(1)課題」「(2)原因」「(3)解決策」「(4)効果」の4つが、この順番に並んでいること。そして、それぞれが「なぜ?」「だから、どうする?」「すると、どうなる?」という言葉で繋がっていること。それだけでロジカルな構成になります。ビジネス・プレゼンは、この論理展開さえ覚えておけばOKなのです。

「ロジック」のうえに「感情」を乗せる

 具体的に考えてみましょう。
 たとえば、ある会社がタブレットで商品カタログを提示できるシステム「デジカタ」という商品を開発したとします。そのシステムを、紙カタログによる営業活動を展開しているA社に販売するためには、どのような論理を構築する必要があるでしょうか?

 まず、A社の課題を明確にします。「紙カタログの制作経費負担」「営業先で必要なカタログを持っていないことで即時商談ができない機会損失」「紙カタログの差し替え業務負担」などが挙げられるでしょう。

 では、なぜそのような課題が生まれるのか? その原因は明らかです。紙カタログを使用しているからです。だから、タブレット上で商品カタログを提示できる「デジカタ」を提案するわけです。これが、解決策です。

すると、どうなるでしょうか? 印刷製本代が不要になりますからコストカットになりますし、「カタログを持参し忘れた」「途中で手持ちのカタログのストックが切れた」といった機会損失もゼロ。しかも、カタログデータは本部で一括更新できますから、個々の担当者は面倒な差し替え業務から解放されます。これが、「デジカタ」を導入する効果。この効果が具体的かつ魅力的であれば、A社は必ず興味を示すはずです。

 このように「(1)課題」「(2)原因」「(3)解決策」「(4)効果」の4つの要素をきちんと組み立てることが、ビジネス・プレゼンの基本です(下図参照)。ビジネスとは、誰かの課題を解決することによって、その対価をいただくものですから、非常にシンプルな論理展開ですが、これ一本でほぼすべてのプレゼンに対応することができるのです。

ビジネス・プレゼンの「論理パターン」は、<br />たった1つマスターすればOK!

 社外プレゼン資料をつくるためには、この基本をしっかりと押さえることが不可欠です。しっかりとしたロジックがないまま、聞き手の感情に訴えようとしても、地に足のつかないプレゼンにしかなりません。だから、まず第1にプレゼンのロジックを構築する。そのうえで、聞き手の感情に訴える工夫をする。それが、正しい手順なのです。 

ビジネス・プレゼンの「論理パターン」は、<br />たった1つマスターすればOK!前田鎌利(まえだ・かまり)1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。各種  営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会なども担当。2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1 期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも多数担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。著書に、『社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)。