どのようにすれば、自分で決められる人になるのか?

 新著『一流の育て方』では膨大な数のエリートに家庭教育に関するアンケートを行なっている。その第一章「主体性を育む」の中から、冒頭の「親に感謝している教育方針アンケート」のごく一部を紹介させていただこう。

●自由が育む主体性
 私の両親の教育方針は、「自分の生きたいように生きろ」です。学校での成績、進路について指図されたことは一度もありません。だからといって無関心というわけではなく、常に私のことを心配し、応援し続けてくれています。
 私はこの教育方針に感謝しています。自分が経験してきた道がどうであれ、自分で決めた道であるから、真剣に反省し、努力し続けることができると考えています。
(東京医科歯科大学大学院生命情報科学教育部Sさん)

●自由放任で、やりたいことを探させてくれた
 両親の良かったと思える点は、私を自由放任主義で育ててくれたことです。それによって、早い時期から自分のことは自分で決めるという癖がつき、自分に対する責任感を得ることができました。
 たとえば、両親から「勉強しろ」「あの高校に行け」などの強制的な指導・命令は一切受けたことがありません。習い事においても、両親は無理に押しつけようとせず、私のやりたいことを自分で探させ、やりたいと言ったことは支援してくれました。
(東京工業大学Tさん)

 アンケートの詳細は本書の方に譲るが、ここでは「子どもに自由に決めさせることの重要性」が異口同音に指摘されている。

子育てと、ビジネスパーソン育成の共通点
「主体性は自分で決断させることで成長する」

 この「自由に決めさせる」訓練を幼少期から積むことで、リーダーシップ溢れる人たちは決断するトレーニングを家庭で受け続けているのだ。これは何も、子どもの教育に限ったことではなく、ビジネスパーソンのトレーニングにも本質的に共通しており、我々に多くのことを考えさせてくれる。

 たとえば海外のビジネス・スクールでも、授業の大半は実際のビジネスの状況を描き、限られた時間と情報の中でどのような意思決定をするかを問われる“自分で決める”トレーニングに多くの時間が割かれる。

 確かにグローバル・金融の優秀な人たちを見渡しても、“圧倒的に仕事ができ出世が早く成功している”プロフェッショナルを考えてみると、かなり限られた時間と情報の中で、間違っているかもしれないがズバズバ決断して物事を前に進めていくのだ。

 その有様は、時間をかけて決定の精度を上げるより、短い時間でとにかく動き、動きながら考えて修正していくというイメージである。

 これに対してアデレードペンギンたちの日常生活を考えてみると、自動的にやるべきルーティーンワークが流れてきて、それをこなしているだけのサラリーマン生活を送ってしまっており、状況が変わって餌がなくなったら飢え死にするか、セイウチに平らげられておしまいである。

 自分で考え決断する、という意思決定の習慣がない人は、主体性を育むことができず、最初に飛び込むファーストペンギンにも、最後まで一人で我慢強く残っているラストペンギンにもなれず、群れでしか動けないのだ。

 この「意思決定させるトレーニングの重要性」は何も立派なMBAだけでなく、全ての家庭・学校・職場でもっと取り入れられなければならないコンセプトであろう。