富士フイルムの業績が、好調だ。3000億円以上かけて、2度にわたる構造改革を断行し、筋肉質な会社に生まれ変わった。課題は、巧みに写真フィルムから液晶パネル用フィルムに軸足を移したように、医薬品、化粧品事業を軌道に乗せれるかどうかだ。古森社長に勝算を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 藤田章夫)
富士フイルムホールディングス 古森重隆社長
Photo by Kazutoshi Sumitomo
Photo by Kazutoshi Sumitomo
リーマンショック後は、実体経済がその前年の8掛けぐらいになると見ていた。実際にそうなっている。当社の売上高も、過去最高を記録した2007年度の2兆8468億円のおよそ8掛けの2兆1817億円となっている。
そこでやらねばならないことは、この売上高でも営業利益率10%を稼ぎ出す体質にすることだ。これぐらいの余力がないと、投資ができない。つまり、戦うことができないと考えている。
そこで、この1年は2回目の構造改革を行ってきた。前回は、写真フィルム事業が中心だったが今回は、あらゆる業務の改善や固定費・変動費の削減、希望退職を募るなどした。1437億円かけたため赤字決算となったが、来期からは構造改革の効果が900億円ぐらい出る見込みだ。そのため、営業利益は1200億円ぐらいになると見ている。
2度にわたる構造改革で限界利益率が下がり、筋肉質な会社に生まれ変わった。次は、トップラインを伸ばしていく。