「人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、加地氏の初の著書『成功する人の考え方』の内容をベースに、成功に必要なポイントをお伝えしていく。今回のテーマは、商品やサービスの値付けについて。
値段が安いことには危険が伴う
僕は仕事の都合で様々なビジネス書を読むことがある。
その中でも特に注意を惹くのが「値引きは絶対してはならない」という文章だ。
この仕事をする前までは「値段が安いことは良いことだ!」なんて考えていたけ。しかし、近頃は値段を下げる方が危険であることに気がついた。
一般的な値下げのデメリットは「ブランド力の低下」「競争の激化」「付加価値の不在」などが考えられる。
しかし、値段が安いことはもっと大きな危険を含んでいる。
まず、お客様の立場から考えてみよう。
例えば、僕らが若い頃には「東京-大阪」間をバスで移動した。新幹線で移動するより断然安いからだ。
「新幹線の方が快適だけど、安さの方が大事だよね」
しかし、ここに大きな落とし穴がある。
僕らは快適を犠牲にして安さを優先していると思っているが、快適よりも大きなポイントを犠牲にしている。それが危険度である。
新幹線での大きな事故は聞いた事はないが、バスの事故は頻繁に起こる。
さらにバス会社でさらに安さを求めた場合、危険度はさらに上がる。
僕らもそうだけど、自分の能力にあった報酬をもらえないなら、仕事は続けられない。
同様に値段を安くすると運転手の値段も下がってしまうから、安い賃金でも働いてくれる人を採用しなければならない。
そう、値段が安いということは働く人の賃金も下がり、それには理由が必ずあるのだ。
成功する人は、その原理原則を理解している。
賃金が安い運転手よりも、賃金が高い運転手の方がいい。
なぜなら、その賃金を求めて多くの人が競い合っているだろうし、会社はその中から安全で優秀な人を採用するからだ。
値引きは営業マンの手柄にならない
僕は値引きを依頼されても必ず断り、その分サービスで相手を喜ばせるようにしている。
なぜなら値引きをしても、お店と営業マンの価値は上がらないからだ。
そんなことをいうと「値引きしたらお客様は喜んでくれたよ!」なんていう反論もありそうだがよく考えて欲しい。
値引きというのは契約前の交渉段階に行われる行為だ。
もし、キミが良かれと思って値引きしてあげても、お客様はキミに感謝せず、「僕の交渉がうまかったから値引きされた」と勘違いするかもしれない。
関西の人なら良くある「この商品、○○○円で買えたよ」なんていう武勇伝もその部類だろう。
だから、成功する人は値引きせずにサービスで返すのだ。
電球ひとつでも配達したり、誰もやりたがらないテレビのセッティングをしてあげたりして。
そうすると結果的にそれが付加価値となって人気が出てくる。
値引きすれば利益が少なくて従業員は疲弊し、サービスの質は落ちる。
値引きをしなければ利益が多くて従業員は潤い、サービスの質が高まる。
何でも安いから良いって物ではない。
ひとつの行動は全体に影響を与えていることを忘れてはならない。
1976年大阪生まれ。株式会社aim代表取締役。
阪南大学高等学校中退後、溶接工に。その後、サラリーマンになり英会話スクールに通うが、1年後の2004年に通っていた英会話スクールが倒産。当時の従業員に「給料を数ヵ月もらわぬままオーナーが失踪したので助けてください!」と生徒なのに相談される。月商18万円で家賃支払いが23万円と大赤字なのにもかかわらず、「可哀想だから」と400万円を借金して援助し、サラリーマンを続けながら思いがけずオーナー経営者になる。
しかし、3ヵ月で資金がなくなり、助けてと言った従業員も退職。その後、英会話スクールの経営を実弟にまかせるが、1年後に病死する。この人生のどん底のときに安定したサラリーマンを辞め、給料の出ない英会話スクール経営1本に絞る。その後、NOVAが倒産し英会話教師だった外国人失業者があふれた。彼らを黙って見過ごせないと、生徒が増えたわけでもないのに日払いで外国人を雇う。この行動が新聞に紹介され、それがもとで生徒数が飛躍的に増え、以後、順調に業績を伸ばす。
2015年2月6日、交通事故に合い5日間意識不明に。6日目に目覚めたとき、「このまま死んだら僕はこの世界に何も残していないことになる」と愕然とする。
それがきっかけで、スタッフや愛する娘たちに残せるのは「言葉しかないのだ」と悟り「成功する人の考え方」の連載をスタート。純粋に言葉の力を試すために名前をふせたままスタートするも幸運にも支持を得て開始8ヵ月で3万いいね!を突破。月間リーチ数250万人の人気ウェブサイトに成長する。年間1000人以上の経営者と対話し、会社経営を行う傍ら、1人でも多くの成功者を世に出したいと、日夜、記事の執筆に精力を注いでいる。山田方谷を学ぶ実践塾「方谷塾」塾頭、陽明学者。
所属団体
・盛和塾<大阪> 世話人。稲盛和夫の経営者塾世話人
・EO Osaka<Entrepreneur Organization>理事。アメリカに母体を持つ経営者団体。年商100万ドル以上の経営者が集まる団体
成功する人の考え方HP http://ekusia.com/
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※次回は、3月16日(水)に掲載します。
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