【藤沢】入社2年未満の社員などにビジョンを伝えていくということですが、会社の規模が小さかったときと、社員やアルバイトの人数が増えてからでは伝え方は変わりますか?
最近は、合宿をしたり、飲み会をしたりと、多くの会社がさまざまな工夫をしていますが、米山さんはどんな方法をとりますか?
【米山】僕の仕事量を増やすしかありません。単純です。
これまでも週3回くらいはスタッフと飲み会をしていますが、飲み会にかぎらず、ざっくばらんに話す場を増やす。事業部ごとの集まりは任せていたけれど、そこにも参加するとか。今年は好きなゴルフも休むと宣言しました。365日仕事モードというか、そういう時期も必要ですよね。
ただし、マーケットと感覚がずれてしまわないよう、他社のお店や海外のお店にも足をのばして、繁盛店の研究もします。感性を失わないよう、昼間の仕事も、夜の遊びも続けなければなりません。
【藤沢】若いスタッフには昔の言い方では伝わらない、というリーダーも多いのですが、米山さんは若いから、そういうことは感じないかしら?
【米山】いやあ、僕も46歳で、新卒社員の半数は、保護者が僕より年下(笑)。僕の話が今の大学生に刺さるかというと、多少ずれてきていると感じています。「若い世代にも刺さるように話せる人」を見つけることが、これからの僕の役割かもしれませんね。
ささいな身の回りの幸せを大事にするというのが、若者の価値観。ラグジュアリーとか、成功して金儲けとかいう言葉はもはや刺さりません。我々が持っているギラついた価値観とは真逆なことを伝えなければならないはずで、幹部に対してと、新人に対するモチベーションの持たせ方は違ってきているはずです。
全社が一堂に会したときにどう発信するか、どこをターゲットに話をするかはかなり迷います。
【藤沢】でもターゲットを決めないと話せない…。
【米山】そうです。ですから、すべてのメンバーに対してはビジョンを話し、具体的な目の前の仕事の在り方、考え方は、僕ではなく、ほかの人間に発信させたほうがいい。そうした発信ができる人材をどう育てるかがカギになります。