一方、熊本の馬刺し。「熊本には馬肉の焼き肉や馬刺しを置く飲食店は多いですが、基本的にスーパーや肉屋でサクで買ってきて家で食べるのが普通。子供のころから正月などハレの日には馬刺しでした。正月用にはスーパーにものすごい量が並びます」と熊本県出身の広告マンは話す。

 国内では年間5500トン近い馬肉が生産されているが、そのうち4割以上が熊本県産。ちなみに、熊本城城主の加藤清正が朝鮮出兵の際、苦戦の末に兵糧が尽きてしまい、死んだ軍用馬の肉を食べたのが最初と伝えられている。

福井のコロッケ好きは
開拓時代の北海道との縁?

 この他にも、家計調査を眺めてみると、福井市と京都市がコロッケで争っていたり、水戸市が意外にも納豆で福島市など他都市の後塵を拝していることなどが分かる(図参照)。

宇都宮vs浜松「ギョーザ日本一」争いの裏側

 福井でコロッケがよく食べられているのは「共働き率が高いため、総菜として出来合いを買って帰ることが多いから」(福井県出身の編集部員)といわれる。確かにコロッケのほか、総菜のカツレツの消費額でも福井は日本一だ。

 もっとも、それだけではない。明治から昭和にかけて、北海道に開拓民を最も多く送り出したのは北陸3県からだったという。そのため、両地の間では海上交易が盛んで、開拓地で収穫されたジャガイモなどが北陸に大量に持ち込まれた。福井に限らず北陸にコロッケ好きが多いのは、「北海道とのジャガイモ交易の影響」(福井県の外食関係者)という説もある。

 ただし、家計調査の結果には注意も必要だ。例えばギョーザの消費額は、あくまでスーパーなどで購入したギョーザ(生、調理済み)の金額で、冷凍食品や外食は含まれていない。長らく消費額1位を守ってきた宇都宮だが、市民は家で食べるより外食でギョーザを楽しむことが多いという。

 宇都宮のギョーザ専門店で組織する「宇都宮餃子会」は、これまで「ギョーザの街」としてのPRに家計調査の結果を使ってきたが、「われわれは専門店の集団のため、今はあまり重きを置いていないし、結果に一喜一憂していない」(同会事務局)という。決して負け惜しみというわけでもないだろう。