今回は、20代の若者が学歴絡みの“迷い”を抱え、人生の岐路に立つ姿を紹介したい。前半と後半で紹介する2つのケースとも、20代の社員が人生の軌道修正を行なうエピソードだ。前半はいじめを受けて辞めていく若者のケース、後半は学歴をバネに這い上がる若者のケースだ。

 いつの時代も、20代の頃、このような状況になる人は少なくないと思う。大学などを卒業し、社会人になり、学歴と改めて向かい合うときでもある。その姿勢の差が、30代の人生に表れる気がする。記事を読む30代以降の人も、このような事例に近い経験をしたことがあるのではないだろうか。


いじめの波状攻撃により、
新人は静かに辞めていく

20代で学歴に押し潰された人もいれば、学歴をバネに這い上がった人もいる。多感な時期に若者たちはどう「学歴」と向き合うべきか

 昨年12月、編集制作プロダクションの社長と接しているとき、このようなことを話していた。

「来年4月入社の新人を今の時点でも、ゲットできていない。大卒の新人はすぐに辞めるから、どうするべきかと迷っている」

 このプロダクションは正社員が7人、契約社員が2人。社長は50代後半の男性で、創業15年ほどになる。都内で数千はあると言われる編集プロダクションの中では、歴史や規模、実績などは上位の部類に入る。

 出版社や広告会社、大学などの出版部門の本や雑誌、冊子などの編集制作を請け負っており、年に数回は正社員の採用を行う。そのほとんどが中途採用であり、20代後半から30代の編集者を雇う。新卒の採用は、社長いわく「リスクがあまりにも大きい」ということで、2~3年に一度行う程度なのだという。

 大卒の新卒を雇っても、1年以内にほとんどが辞めていくらしい。卒業大学で見ると、早稲田、明治、中央の3校が多いようだ。出版社や広告代理店の採用試験に不採用だった人が多いという。慶應、上智、ICU、青学、立教などを卒業した人が入社したケースはないそうだ。

 一方で、日大、駒沢大、専修大、大東文化大などの出身の新人は、いじめを受けることなく3~5年は在籍するが、その後辞める傾向があるようだ。いじめをするのは、専門学校や高卒として入社し、5~15年前後のキャリアの編集者3人である。男が2人で、女が1人。この3人が正社員7人の中核であり、古株だ。