

最後に、肩こりを更に遠ざけよう!というお話で締めたいと思います。
「肩こりがある人と、ない人の違いはあるのか?」という質問を受けることがありますが、肩こりは万人がなるものだと私は思います。欧米人は肩がこらないなどと言われることもありましたが、こる人はこるそうです。
私はプロスポーツ選手の施術をすることもありますが、鍛え上げた肉体の彼らだって、肩こりを訴えることもあります。職業上、慢性的に肩こりの人は少ないかもしれませんが、長時間の移動などで肩まわりの筋肉が疲労・緊張すると、血行不良が起こります。寝不足でも肩がこります。
誰にでも起こり得る肩こりですが、ビジネスマンの方に見られるのは、緊張やプレッシャー、不平不満などから引き起こされる肩こりです。精神面からの肩こりは、首から背中にかけてある大きな筋肉・僧帽筋の真ん中あたりに不調がみられます。
ストレスをためないことは万病に効く、ということでしょうが、それができたら苦労しません。多少肩がこっていても、日々戦い続けることが現実ですよね。そんな戦いの中ですから、集中すれば誰だって悪い姿勢にもなってしまいます。
もしここで正しい姿勢を覚えていただいても、しばらくすると崩れてくることもあるでしょう。望ましいのは、定期的に私どものようなプロに、ポジションの修正を見てもらうことですが、意識的にやってみるだけでも効果的です。胸と鎖骨は開いているか、肩を外側に張る、という2点のチェックだけでもOKです。全てが正確なポジションでなくても、正しい姿勢に近づこうとする気持ちが大切なのです。
私の印象では、仕事ができる人、お金を稼ぐ人は、普段から姿勢も良い方が多いです。たとえ姿勢が悪くても、正しい姿勢を伝えると、すぐに対応できるような印象があります。自ら「やろう」とする前向きな心がけが、正しい姿勢を保つために大切なのだと、患者さんから教えていただきました。
(構成/安田有希子、撮影/宇佐見利明)