本書への批評:タイトルおよびアンケートへの誤解が多い

 なお、本書にお寄せいただく御批判は、以下の2パターンが多い。

1・タイトルが嫌い

 これら無数の書評に見られるよう、「一流の育て方」というタイトルは誤解を招きがちで反感を頂くことが多い。名付け親の私としては、共著者のミセス・パンプキンに申し訳ない限りである。ただ決して「学歴や偏差値が高い人をエリート」と言っているわけでないことは、本書をお読みいただけるとご理解いただけるはずだ。

 実際は「主体性を伸ばし、視野を広げ、グリットを育み、コミュニケーション能力が豊かで、信頼と愛情あふれる人間」を目指すことが重要だと述べており、その育て方自体を「一流の育て方」と呼んでいるに過ぎない。育てる子どもが一流かどうかは、多くの親御さんの関心外であろう。肝心なのは、我が子が主体的に自分が好きな分野を選び、自己実現することを助ける「育て方」の質を上げることだ。

 本書でも書いているよう、「理想の育て方」など一般化して定義できるはずがない。本書をご自身とご家庭の個性にあった「一流の育て方」を定義づける、一助にしていただければ幸いである。

2.アンケート回答者はエリート学生で、ビジネスパーソンとして成功するとは限らない?

 これは、本書の構成と各パーツの位置づけを再度説明するのに適したご批判であり、大いに歓迎したい。本書の冒頭では、「子どもが将来感謝する教育方法」をアンケートから明らかにすると書いており、このアンケートの目的はそれ以上でもそれ以下でもない。

 このアンケートは、ファクトとして、200人もの「単によい大学にはいっただけでなく、様々なリーダーシップを発揮している学生さんが、親に感謝している家庭教育方針」を明らかにすることが目的である。

 また、「ビジネスで成功した人の家庭教育方針」に関しては、私が様々なビジネスリーダーに「家庭教育方針」をインタビュー調査したものを各章の冒頭に掲載している。

「アンケートは学生が対象で、ビジネスパーソンへのアンケートではないではないか」というところに疑問を抱かれる方は、「1.成功したビジネスリーダーへの育児方針インタビューは各章の冒頭で私が行っている」「2.学生自体が、いわゆる一流大学で様々なリーダーシップを発揮しており、成功するビジネスパーソンの近似値である」ことにご注目いただければ幸いだ。

 そして何よりも「3.アンケート回答内容は『主体性を伸ばす大切さ』『視野を広げる大切さ』『グリットを養う大切さ』『コミュニケーション能力を幼少期から養う大切さ』『信頼を大切にする教育』など」だということである。

 果たしてここに、ビジネスで成功する資質として、無関係なものが一つでもあるだろうか。ビジネスパーソンとして成功する「育て方」に無関係なものは一つもないと、ご納得頂けるであろう。