世のため人のため―受け継いだ当たり前のこと
【藤沢】ロート製薬さんは、社会貢献活動にも積極的ですし、いろいろなところに社員の方を派遣して社会をよくしていくという取り組みをされていますよね。一例では、東日本大震災のあと「震災復興支援室」を設け、6名の社員を現地に派遣されました。取締役の報酬の一部を活動資金に充てたのだとか……。
そのような発想はどこから出てきたのですか? お父様やお母様から譲り受けたものなのでしょうか?
【山田】僕自身、かつて阪神大震災を経験しましたし、被災地の未来を担うのは子どもたちですからね。
あとは、親から受け継いだところもあるんでしょうね。先代も含めてうちの先祖たちは「世のため、人のため」ということを僕以上に実践していた。そういうところは絶対に大事にしていきたいし、そうするのが当然だという思いがあります。
【藤沢】山田さんは4代目ですが、それぞれみなさん、個性は違うのですか?
【山田】そうですね、個性は違うのだけれど、代々流れているものがあるし、知らず知らずのうちに影響を受けている気もしますね。
初代は、ある程度成功したあと、どちらかというと文化の方面に進んでいったし、2代目は商売上手な人だったけれど、いきなり水泳をやってみたり……。
3代目である親父は最後まで現役でしたが、出会った人みんなと仲よくしていきたいという人でした。僕からすると、そんなにお人好しでなくてもいいのにと思う部分もありましたね。
子、孫を考えれば―100年後は意外とリアル
【藤沢】以前、山田さんが「会社のことを考えたら経営者は50年先を見なければいけない。だから僕はアフリカのことも考えている」とおっしゃっていたのが印象的でした。「50年先を考える」という言葉を発する経営者さんって、じつはあまりいらっしゃらないんです。
今の株主は短期的な効率を重視するので、ビジネスを見るときの時間軸がとても短く、経営者もそれに合わせざるを得ない。だから、3ヵ月とか1年、3年といったスパンでお話をする経営者が多いんです。それに対して、山田さんは見ている時間軸がまったく違うなと思いました。
【山田】3ヵ月先、1年先の話なんて、そんなに意味はないよね。