藤沢】山田さんが見ている時間軸でいけば、3ヵ月で考えたら非効率でも、30年スパンでみれば実は効率がいい、という事象がありますよね。いま投資しているものは無駄に見えるかもしれないけど、長期で見れば、あのとき投資しておいたから何十年後に収益が安定した、ということにつながるかもしれない。

山田】フロンティアがあって右肩上がりに成長できるという時代は、21世紀中にはたぶん終わる。インドに進出し、アフリカに進出したら、もう出ていくところがないわけですから。まさか火星に行けるとも思えないですし(笑)。

僕は「早く引退しよう」と思っているけれど、世の中は続いていく。子孫が経営するかどうかは別として、孫の世代を考えたら「100年先」って、じつはそう遠くないですよ。50年後、100年後、自分はおらんかもしれんけど、子どもや孫がいる人にしたら、それはきわめてリアルな未来ですよ。

藤沢】100年後がリアル! 言われてみると、たしかにそうですね。

山田】会社だってね、若い子は40年後にまだ現役で働いているかもしれない。40年後、50年後って実は目の前のことなんだ。「今年入ってきた新卒社員が将来どうなるか?」って考えると、40年後を見据えるのは経営者にとって当たり前なんです。

だから社員や社会に責任を負っている人間からすれば、「長い時間軸で考える」ほうが自然なんじゃないかなと。個人的にはそういう思いもありますよ(笑)。

(対談は第2回につづきます)