手術や治療など医療面で、同意できる範囲が明確でないことだ。身寄りがない一人暮らしの高齢者が入院すると、付き添うのは仕事熱心なケアマネジャーというケースは多い。医師から手術の費用性を説明され、同意書への記入を求められる。

 本人が認知症であれば後見人の出番となる。ところが、現行制度では、後見人に手術や延命治療など医療行為への同意はできない。

 では、同意権を与えるとしたら、どのような医療行為についてなのか。延命治療まで含むのか。本人の意思決定権を損なうとして反対論もある。難問ではあるが、いずれきちんとした道筋を示さねばならないだろう。

成年後見が必要な人は認知症の人だけではない

 制度の普及、利用促進を加速させると同時に、その改善策に手を打たねばならない。こうした議論を経て、参院内閣委員会では、以下の付帯決議で新法に注文を付けた。

「一、障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め、それに基づき、必要な社会環境の整備等について検討を行うこと。
二、成年後見人等の事務の監督体制を強化し、成年後見人等による不正行為の防止をより実効的に行うため、家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体における必要な人的体制の整備その他の必要な措置を十分に講ずること」

 付帯決議は、往々にして「ガス抜き」に終わってしまうとよく言われるが、そうならないように注視していきたい。

 成年後見を必要とされる人は、認知症の人だけではない。約58万人と言われる18歳以上の知的障害者、約300万人という精神障害者の中にも対対象者は多い。とても定着しているとは言い難い。制度改定を機に普及が急がれる。